「まったく・・・保健の授業なんてやる必要あんのかよ。交通事故を防ぐやり方なんて誰でも知ってるつーの。」 俺はそう思いながら適当に黒板の文字を写していた。 だがだんだんやる気が失せてきてノートにくだらない落書きをして時間を潰していた。 10個くらいの落書きを書いたところでふと黒板を見るとテスト範囲の説明をしていた。 「ヤバッ!」 俺は急いで写し始めるが結局すぐに消されてしまった。 仕方がないので隣りの紺野に聞こう。 そう思いふと隣りに目をやると顔を真っ赤にしながら熱心に教科書を読んでいる紺野の姿があった。 「何熱心に読んでるんだ?」 疑問に思った俺はイスを傾け後ろから覗き込んだ。 「!!!」 俺は唖然とした。秀才でおとなしい。そんなイメージの紺野が・・・。 性の、それも男性の生殖器についてのページを読んでいる。 俺はそのまま固まってしまった。 すると紺野は俺に気づいたのか真っ赤な顔でこちらを向きサッと教科書を隠しそのまま突っ伏してしまった。 呆気にとられていたが俺は目的を思い出した。が、今の状況ではとても聞けやしない。 仕方がないので前のヤツに聞いた。 463 :名無し募集中。。。:2006/01/08(日) 04:42:11 ID:s2p9WpLT0 授業も終わり、さあ食堂へ行こうか。と思って席を立った矢先、誰かに袖を引っ張られてバランスを崩しイスに座り込んだ。 引っ張ったのは紺野のようだ。おそらくさっきのことだろう。 「・・・なに?」 紺野は顔を真っ赤にしながら口をもごもごさせている。 「あ、あの・・・さ、さっきのこと・・・なんだけど・・・」 ほうら。おもったとおり。どうせ内緒にしてくれ、と頼みたいのだろう。 「わかってるよ。誰にも言わないって。」 紺野はホッとしたような顔を見せた。頼まれなくても別に言うつもりもなかっんだが。 「しかし、意外だなー。まさかこ」 「い、言わないでよ〜・・・」 思わず俺の口から出てしまった言葉に紺野はオタオタしてまた顔を真っ赤にさせた。 ・・・もっといじめたいな。そう思った。俺の中にあるSの性癖が込み上げてきてしまったのだろうか。 「なんであんなの読んでたの?」 紺野が答えられそうにない質問をぶつけてみた。いっそう顔が真っ赤になっていく。爆発してしまうんじゃないだろうか・・・。 「・・・・・・ぁ・・・ぅ・・・」 「え?」 答えられないのを知っててわざと聞きなおす。 紺野はどんどん下を向いていく。手の先まで真っ赤だ。 そのまま黙りこくってしまったので、もうこれ以上はいいか。 そう思い俺は食堂へむかった。 464 :名無し募集中。。。:2006/01/08(日) 05:26:40 ID:s2p9WpLT0 ホームルームも終わり、 「よっしゃ帰るか。」 と、かばんを持ち上げた時、また袖を引っ張られた。・・・紺野だろ?・・・ほらやっぱり紺野だ。 「あ、あのさ・・・このあと、だいじょうぶ?」 え?!逆ナン?!とちょっとドキッとしたが冷静に考えればさっきのことだろう。そんなに心配なのか。 「別にいいけど・・・」 大した予定もないので付き合うことにした。 連れてこられたのは駅の近くのマック。 「席で待ってて。」 と言われたので席に座り携帯でメールをチェックをし終えたところで紺野が来た。 ポテト(M)とファンタ(M)が俺の目の前に置かれた。 「くれんの?」 「う、うん・・・。」 おそらく口止め料のつもりなのだろう。ありがたくもらうことにした。 とりあえずパパッと済ませて帰ろう。いつまでもこんな気まずい空気を吸いたくない。 そう思っていたので早速本題に入った。 「で、さっきのことだろ?そんなに心配なのか?」 紺野は驚いたようだ。ジュース(L)を飲み始めたところでむせていた。 「あー・・・大丈夫?」 「ゲホッ・・・ゴホッ・・・だい、大丈夫・・・。」 ティッシュで口の周りを拭いている。そんなにパニクったのか。 一体なんでここまで心配してるのか。俺にはさっぱりわからない。 拭き終わった紺野はひとつ深呼吸して俺のほうを向いた。 465 :名無し募集中。。。:2006/01/08(日) 05:28:48 ID:s2p9WpLT0 「あ、あああの・・・別に〜あの・・・そ〜そうゆうことに興味があるって訳じゃ・・・ないのね?」 俺に聞かれても困る。 「たまたま目に・・・。たまたまって言ってもそっちの意味じゃ、あ〜何言ってるんだろもう・・・。偶然目に入っただけっていうか・・・その〜・・・」 両手で頭を掻きながら一人で勝手に悩んでいる。巻き髪の形が崩れてってる。 「とと〜にかくそうゆうことい興味があるってわけじゃないんです・・・。だから・・・あの〜誤解しないで・・・。」 また顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。言いたいのはそれだけらしい。さすがにかわいそうに思えてきたのでさっさと切り上げよう。 「わかったわかった。初めからそんなふうに思ってないって。心配すんなよ。」 しばらく反応がなかったが紺野はようやく理解したのか大きなため息をついた。 「よかった〜・・・。あ、ありがと・・・。」 乱れた髪をかき上げながらのんびりした口調で言った。 「いいよ。別に。」 ふう、これで終わる。さ〜早く帰ってマンガでも読も。 そんなことを考えていたはずだった。 だが次に出てくる健全な高校生らしい考えが今度は俺に恥辱の思いをさせるとは思いもしなかった。 ・・・しかし前々から気になってたけど紺野ってよく見ると結構胸でかいな・・・。 胸でかいとエロいっていうのどっかで聞いた事あるけど・・・。 そんな考えがふと脳裏をよぎった。一瞬俺の体の一点に熱が集中するのを感じた。馬鹿か俺は。何考えてるんだ。 このままだと何かまずいことでも言いかねない。さっさと帰ろう。 「じゃあ俺、これで・・・。」 「えっ?!」 帰ろうと立ち上がったら紺野が驚いた顔をして声を上げた。 ん?何ビックリしてんだろ。 そう思った。 466 :名無し募集中。。。:2006/01/08(日) 05:38:31 ID:s2p9WpLT0 その理由がわかったのは紺野の目線に気付いてからだ。 俺のある一点がズボンを盛り上がらせてしまっていた。それを紺野が目線を逸らさずに固まっている。 あせった。確かにそんな感じはしたがこんなではなかったはずだ。誤算だった。 「あ、いや〜・・・その〜・・・」 そう言いながらバッグでその部分を隠したが時すでに遅し。 また真っ赤になってる紺野がいた。 今度は目が泳いでいる。 「うわー・・・最悪だ・・・。終わった・・・。」 心の中では最悪のシナリオが展開されている。 紺野はきっと俺が:紺野に欲情したと思って恥ずかしがっているんだろう。 まさにそのとおりなのだが・・・。とにかく俺は急いで店を出た。 『顔から火が出る』とはこのことなのかと、痛感した。 家に着いてから俺は真っ先にベッドに横になった。別にそういうつもりではない。 枕を抱き顔を押し付けながら「あー!やべー!恥ずかしいー!!!」ずっとこんな独り言を言っていた。 もう紺野に顔を会わせられない。とか学校に行けない。とかそんなことをずっと考えていた。 今度は俺の番か・・・。これがさっきの紺野の苦しみか。 思わず爆笑してしまった。隣りの部屋の妹は「兄は逝ってしまわれた」と思っていることだろう。 気が済んだところで俺は真剣に考え始めた。 紺野になんて言い訳しよう。 いや、紺野ならもうすっかり忘れて今頃は干し芋でも頬張っているだろう。 紺野と目が合うと気まずいな・・・。 気がつくと俺は紺野のことばかり考えていた。