「へえ〜、じゃあまた事務所に戻ってフットサルやるんだ。」
俺がそう言うと紺野はうなずいた。
「うん。いろいろ考えたんだけど、同じフットサルやるんなら慣れたチームのほうがいいかな、って。」
「そうか。じゃあこれから忙しくなるな。」
「ん、でもまあ学業優先にしてもらったし、練習は基本週2回だし大会だってそうしょっちゅうあるわけじゃないしね。
ここのフットサル部に入るのと大して変わんないかも。」
今度は俺がうなずく。

あのコンパの日からしばらく、俺と紺野は語学の終わった教室で何気ない会話をしていた。
そう……あの日、俺と紺野は酔った勢いでセックスに及んだ。
いや、正確には俺たちだけではない。
もう一人、Bを加えての3P。
俺とBに何度も何度も全身を愛撫されて貫かれ、快楽を貪ってあえぐ紺野。
元アイドルとは思えないほどの乱れっぷりだった。

とはいえ、2度目があったわけではない。
あの日のことは酒の上の不埒か、それとも一夜限りのうたかたの幻か。
俺も紺野も、もう一人のBもあの日のことは一言も口には出さなかった。
もちろん、互いにも第三者にもそれはしゃべってはいなかった。
だいいちBはというとさっさと彼女を作ってそれこそ楽しいキャンパスライフを楽しんでいるぐらいだ。


あの日のことはなかったことにしようというのが、3人の中の暗黙の了解だと理解していた。
とはいえ、俺自身はあの日のことは忘れることはなかった。
元アイドルを抱いたということ。
3Pで、しかも太陽が黄色くなるほど何度も何度もさかりまくったこと。
そして……紺野の身体がこの上ないほど俺にとっていい抱き心地だったこと。
むっちりとした肉付き、たわわな乳房、そして……紺野の持ち物。
一対の鍵のように俺のものとぴったりと合わさってまるで生き物のように吸い付いてくる。
これまで経験してきた女に比べると、俺にとってははるかに上質でしかもフィットするモノ。
正直、俺は紺野のそこを思い出しては何回も抜いた。
もう一度紺野としたい、抱きたい。
いつもそう思っていたが、その機会はなかなかやってはこなかった。
ま、なかったことにしようというのだからそれも当然ではあったのだけれど、
雑誌やネットで見る情報だとどうも派手に夜遊びしてるとのことだから俺にだってそれがまわってきても……
とも思わなくもない。
隣で見る限りそんな印象はないんだが……
いや、この前のコンパの後が実際そうだったんだろ。
などといろんな妄想が頭をめぐる。

ただ、その日以来俺と紺野の間は、友達というくくりの中ではあるが確実に一歩近づいたことは実感できた。
「あ、そろそろメシでも食いにいく?」
俺が誘うと紺野もうんと返事をする。
学食とはいえ、こうして一緒に昼飯を食いに行くようになったのがなによりの証だ。

……などということを思いつつ、紺野と昼飯を食っていると突然
「…ね、A君この後時間取れる?」
と俺に聞いてきた。
今日は特に用事はない。
しかしなんでいきなり……
などと思っていると
「今日ちょっと付き合って欲しいんだ。」
と紺野が言ってきた。

あ、別にいいけどまたなんで?

俺は紺野に聞いた。
「うん……実はね、今日午後からパーティーがあってそれに出席することになってるの。
でも男女ペアで参加、ってことになっててそれで……できたら同じくらいの年齢がいいんだけど、
あたし今そんなに親しい男の人いるわけじゃないし、それに……」

ははぁ、何人かあたってはみたものの都合つかなくて断られたのか。
それで俺に回ってきたんだな……

「……その……A君口も堅いみたいだから……」

確かに、この前のことは俺もBも一言も口外していない。
ま、元アイドルを抱いたんだから自慢げに言いふらしても不思議じゃないことではある。

「…で、どんな格好で行けばいいんだよ。正装でもしないといけないの?」
「ううん、その格好でいいよ。そんなに堅苦しくないパーティーだから。あたしもこの格好で行くし。」
「そう。じゃ安心したな。セレブなパーティーだったらどうしようかと思った。」

どんなパーティーだか知らないが、とりあえず俺は紺野にOKと返事をする。


と言ってはみたものの、パーティーに参加した俺は驚いた。
ホテルのパーティルームでの小規模なパーティーで服装こそカジュアルだったものの、
TVなどで見た有名人が何人もいた。
そしてその中にはモーニング娘。のメンバーもいたからだ。
もっとも、出入りの激しいモーニング娘。だから現役かどうかまでの知識はなかったのだけれど、
あらためて紺野の顔の広さ、というか人脈に驚く。
なんだかんだいっても何年も芸能人やってきただけのことはあるなと俺は思った。

だがそれよりも俺が驚いたこと。
それはこのパーティーそのものの目的。
一通り参加者が集まると、司会、というか幹事が挨拶を始めた。

今日は皆さんよくおいでくださいました。日頃のストレスを発散し、たまには違うパートナーとの愛の交歓を……

ってオイ、なにを言い出すんだ。

それではこれからパートナーの組み合わせを決定いたします。
ただいまから私が皆様のところへくじを持って参りますので、それをお引きください。
棒の先端に書いてある番号があなたの番号ですので、男女それぞれ一致した方と番号のお部屋にお入りください。
なお、本日参加されたペアの数字が一致した場合以外はキャンセル不可でありますので、
あらかじめご承知いただきますようお願いいたします。
もちろん、部屋の中で何をなされようとご自由ですので、皆様自らの責任をもって……

ひょっとしてこれは……
俺の頭を妄想が駆け抜け、下半身が反応する。
そして、一瞬紺野のほうを見やった。

当然、紺野はこのパーティーの意図を知っていたはず。
と、いうことは……
そしてそれに俺を誘ったということは……

そんなことを思うまもなく、俺の目の前におみくじ箱のような筒が突き出される。
そして……同じく女性用のくじの箱が紺野の前に出された。
俺と紺野はほぼ時を同じくしてそれぞれその中の棒を1本引いた。
そこに書いてあった番号、その相手と俺たちはこれから……

「なあ紺野。このパーティーってもしかして……」
俺がそう言いかけたとき、

さあ、パートナーは決まりましたか?それではみなさんごゆっくりと愛を交歓してください。

という司会の声にかき消される。
と、同時に一人の男がこちらにやってきて
「じゃあ紺ちゃん。僕と」
と、棒に書いてある番号を紺野に見せるとそのままエスコートして部屋へと消えていった。
俺はどうしていいかわからず、ただその場に座っていた。
しばらくすると、一人の女性が俺のそばへやってきた。

「あなたのお相手はあたしやよ。さ、そろそろ部屋のほうへ行きましょ。」
俺はその子の顔を見上げる。
そう、確か紺野と同じモーニング娘。の一員。
……だが顔は知っているものの名前が思い出せない。
俺はその子に導かれるまま、部屋へと向かった……


「あなたこれに参加するの初めてよね。」
部屋の中でその子が言った。
名前は思い出せないが、モーニング娘。のメンバー。
たしかまだ卒業してなかったはず……と思うが俺の知識ではそれも定かではない。

「びっくりした?」
その子の問いかけに俺はうなずく。
「やよね。初めて参加する人はたいていびっくりするやよ。」
「いつもこういうことしてんの?」
思い切って俺は聞いた。
向こうから話を振ってくれた今がチャンスだと思ったからだ。

「アイドルやるって結構しんどいんやよ。いつどこで誰に見られてるかわからんし。
それにヘタすりゃ写真誌に撮られたりするんやもん。」
「………」
「はじめは単に複数デートにつかってたんやけど、ほら、つき合い長くなってくるとだんだん刺激が欲しくなるやん。
いつからか知らんけど次第にこうなっていったらしいんやよ。」
その子は淡々と続ける。
「でも考えたらこっちのほうがバレたら大変よね。だから参加する人は口が堅くないとね。
ま、彼氏がOKしてくれたらベストやけど、逆に反対する人もおるわな。」

なるほど。そりゃそうだ。
たとえプレイとはいえ自分の彼女が他人に抱かれてるのを嫌う男もいるだろう……いや、そっちのほうが多いか。
しかし女は怖い。心と身体は別ということか。

「…で、あーたはあさ美ちゃんの彼氏?」
え?
いきなり問いかけられて俺は返事に窮した。
もちろん俺は紺野の彼氏などではない。
が、どう答えればいいんだろうか。
単に今日何もわからずただ誘われたとだけ言えばいいんだろうか。
そんな俺を見透かすかのように
「あ、やっぱり違うんや。」
とその子はいった。
「え…あ…まあ……」
「そやよねー。あさ美ちゃんに特定の彼氏がいるなんてあんまり聞いたことないもん。」

え…あ?そうなのか?
「あ、紺野って毎回参加してるの?」
俺は気になっていたことを聞いた。
「う〜ん…今日で2回目ぐらいやないの?あの子スケベな割に案外こういうことするのためらうんよね。
あ、信用できるパートナーがなかなか見つからんとも言うてたな。
ま、あーしは彼氏がスタッフさんやから毎回参加しとるけど。」

その子は一通りしゃべると
「さ、どうする?なんやったらこのままずっと時間までおしゃべりしててもえーんやけど。
あっしシャワー浴びてくるからその間に考えといてね。」
と言い残し、バスルームへと消えていった。

残された俺は考える。
どうしようか……いや、考えるまでもない。
こんな願ってもないチャンスはまたと来ないだろう。
とはいえ、目の前の信じられない出来事にまだ逡巡してしまう気持ちが少しだけ残っていたことも事実だった。
そして紺野がわざわざ俺を選んだ意味。
いや、特に意味はないのかも知れないが、選ばれた以上そっちのほうも期待されてるんだろうから
何もしないのはかえって紺野の顔をつぶすことになるのでは……
などと理由付けとも自己弁護ともとれることを考えたりする。

と、そのときバスルームの扉が開く音がしてその子が再び現れた。
バスタオル一枚だけをまとった姿。
全身からほんのりと湯気がただよい、肌が上気している。
残念ながらこの状況で理性を保つことは俺にはできなかった。
今まで考えていたことはどこかに吹っ飛び、俺の下半身に血が集中してゆく。
俺はその子に促されるまま、自分もバスルームでシャワーを浴びると、再びその子の隣に腰掛けた。

その子は俺の方を見やると
「あさ美ちゃんのこと、気になるん?」
と聞いてきた。
俺はうなずく。
するとその子は
「じゃあ、見る?」
と言うと、そばにあったリモコンを手にとってビデオのスイッチを入れ、チャンネルをいじる。

と、画面に映し出されたのはこのホテルの別の一室。
そして……紺野の姿だった。

おそらく天井から撮られているらしいアングル。
紺野はベッドの上に全裸で仰向けになり、大きく両足を広げていた。
そして、その紺野にかぶさっている一人の男。
まぎれもなくさっき会場にいて、紺野とともに部屋に消えていった男だ。
そいつはちょうど紺野の股間のところに頭を置いて、両手で紺野の太ももを抱えている。
そして小刻みに動くその頭は、誰が見ても紺野のそこを口と舌で愛撫していることは明らかだった。
その紺野は両手を後ろに回してシーツをつかみ、何度も頭を振って快楽にあえいでいた。

俺が驚いて画面に見入っていると
「どう?びっくりした?」
とその子は言った。
そしてさらに
「角度も変えられるやよ。」
と言うと何度かリモコンのボタンを押してゆく。
と、そのたびにアングルが変わってゆく。
紺野の頭の方から、足の方から、そして横からと、違った角度で紺野と男が映し出される。

「びっくりした?この部屋にもカメラあるんやよ。ほら、そことそことそこ。あ、そこにもかな。」
その子が指差す方向を見ると、今まで気づかなかったが何台ものカメラがこちらを向いているのが確認できた。
「パートナーが他の人としてるのを見たいというニーズもあるからちゃんと応えられるようになっとるやよ。
もちろんカメラの場所は明らかにされてるから見られたくない人は隠すこともできるし
見たくない人はビデオつけなければええだけやし。
ま、写す部屋も選べるからこうやっておしゃべりしてるだけやと誰も見らんやろうけどね。」
そうその子の言っていることももはや俺の耳にはあまり入ってこなかった。
俺はただ画面の紺野を凝視していた。
そして……紺野を抱いている男になぜか激しい嫉妬を覚えた。

そんな俺の心中を見透かすかのようにその子は俺にしなだれかかりながらささやく。
「……どうする?このままずっとおしゃべりしててもいいけど…それじゃつまらんやよ……」
その言葉が終わるか終わらないかのうちに、俺はとうとうがまんできなくなり
その子に身体をあずけてベッドに押し倒してゆく。

「…あ…乱暴なのはいかんやよ…もっとやさしく……」
というその子のささやきは、もう俺の耳には入らなかった………

パーティーが終わり、俺と紺野は帰りの道すがらのファミレスにいた。
夜食といえるのかどうか、軽食を取っていたが2人ともパーティーのことは口に出さなかった。
そう、あの日の朝と同じ。
少なくとも俺にとっては信じられない出来事。
そして今、目の前にいるのは男に抱かれたばかりの紺野。
知らなければなんともないいつもの紺野なのだが、ビデオに映し出されていたことで生々しさが漂う。
そして、さっき放出したばかりだというのに、俺の下半身は再び充血をはじめていた。
やがて……紺野のほうから口火を切った。

「……ごめんね……無理に誘っちゃって。でも楽しんでもらえた?」
いかにも普通のパーティーのように感想を求めてくる紺野。
俺はただ一言うんといってうなずく。
だが、俺には本当は言いたいことがあった。
言おうかどうしようか……
しばらく迷っていたが、いいよな、別に。
お互い今まで何をしてたかわかってるんだから……

「今日は…誘ってくれてありがとう。でも俺……本当は紺野としたかった。」

俺がそう言うと、紺野は一瞬驚いたような表情を見せたが、やがてすぐ俺の顔を見ると
「……あたしも……じゃこれからしよっか。」
と俺に言った。

そして俺たちは帰り道の途中にあったホテルにチェックインをした……



バスルームからバスローブに包まれた紺野があらわれる。
さっきのパーティーでも2度シャワーを浴びているはずなのだが、やはり儀式というかまあそんなものなのだろう。
俺もシャワーを浴び、紺野の隣に座る。
腕で頭を抱き、俺も顔を近づける。
吐息が顔にかかるのが感じられ、唇が重なる。
俺と、紺野の舌が互いに侵入を開始して絡まりあう……
部屋の中にぴちゃぴちゃと湿った音が響く。
互いの舌と舌とが絡まり合い、唾液が入り混じる。
紺野の呼吸する息が俺の唇にかかり、なんともむずがゆい。

俺は右手で結わえてあるバスローブの結び目を解き、紐をほどく。
ゆるりとはだけられるバスローブ。
ちらりと胸が見える。
俺はそのまま右手をバスローブの中に差し入れると、ゆっくりとバスローブを脱がせてゆく。
紺野も肩を少しばかり振って、身体にかかっていたそれをはだけようとする。
するりとバスローブが脱げてベッドの上に落ちると、紺野の裸体が現れる。
生まれたときのままの姿。そしてたわわな乳房が俺の目の前にある。
俺の右手はそのまま下がり、手のひらで乳房を包みこみ、ゆっくりと揉みしだく。
その刹那、

……あん……

という吐息が聞こえた……

そのまましばらく愛撫を続け、今度はゆっくりと腕を下へと下ろしてゆく。
胸からわき腹へ、そしてへそから恥丘へと、俺の右腕が移動する。
そして最後に足の付け根へとたどり着き、その奥へと触れてゆく。
そこはもう……充分すぎるほどに濡れぼそっていた……


……ふあっ……はあっ……あんっ……はあんっ……

ベッドの上で絡み合う俺と紺野。

俺は手のひらで、指で、そして舌で紺野の全身を愛撫する。
この前は酔っていたが、今日はシラフだ。
紺野の身体のすべて、皮膚の皺から襞の内部、粘膜の中にいたるまで、紺野のあらゆるところを丁寧に嘗め回し、弄ぶ。
もしかしたら、さっき画面に映っていた男への対抗心もあったのかもしれない。
これまでの、どの女に対してよりもより丁寧に、そして念入りに身体を愛撫する。
紺野もそんな俺に無防備に身を委ね、
まるで返答をするかのように吐息を、声を、そして吸い付いてくるような柔肌を俺の前にさらけ出す。

俺は頭を紺野の股間へと降ろし、両手で太ももを抱えて持ち上げる。
俺の目の前に晒される紺野のそこ。
紺野の体内から染み出した愛液でそこはすでにしとどに濡れぼそり、周囲には薄めの陰毛がぺたりと張り付いて光沢を放っていた。
左右の襞は充血して自然に開き、中の粘膜が顔を見せている。
それは汁にまみれて妖しく光り、その汁の一部は糸を引いている。
その中央から少し上に見えるのは小便排泄のための小さな穴、そしてそこから数ミリ下がったところにぽっかりと開いた空洞。
男のモノを受け入れ、さらには快楽を与え、そして将来は子供が産まれてくるための通り道となる器官。
そこはまるで別の生き物のようにぱくぱくと小さく動き、俺がやってくるのを今か今かと待ち望んでいる。
今まで何人の男のモノがここに導かれ、進入していったのだろうか……
一瞬、そんなことも思う。
俺はその部分を丁寧に舐めまわしてそこから溢れてくる蜜を何度も掬い取り、時折指を中に入れて紺野を刺激する。
そのつど紺野は
……はあっ……はああっ……ふああっ……はあっ……
と喘ぎ声を漏らし、身体を小刻みに震わせる。
乳房の先端にある朱鷺色の乳首は固くしこり、紺野がすでに充分な快感に包まれていることを証明していた。


しばらくして……
俺たちは姿勢を変え、今度は俺がベッドの上に仰向けに横たわる。
紺野は俺と反対の方向を向いて俺をまたぎ、身体の上に覆いかぶさる。
互いの目の前にはお互いの性器。
俺は少し頭を起こし、手で紺野の腰を抱えると目の前にある紺野のそこを再び口と舌で刺激する。
時を同じくして紺野は頭を下げ、髪をかきあげながら俺の分身を手で包み、自らの口に含む。

ぴちゃぴちゃ、くちゅくちゅと互いの性器を舐めまわす音が聞こえる。
紺野は俺の分身を時には口腔全体で、時には口から出して舌でちろちろと舐めて俺の性感を刺激する。
時折その動きが止まるのは、紺野自身が快感の刺激を受けて思わず動きが止まるためだろう。

俺たちは何度も何度も、あたかも無限の時間が続いているかのように互いに刺激を与え続ける。
次第に……紺野のそこから滲み出してくる体液の粘りと濁りが増してゆくのがわかる。
そこはもう俺を受け入れるには充分すぎるほど用意を整えていた……

もう充分すぎるだろう……

俺は自らの動きを止めると、ゆっくりと身体を起こしてゆく。
紺野にも俺の意図が伝わったらしく、ゆるりと俺の身体の上から身を外すと再び頭をこちらに向かせてベッドの上に仰向けに横たわる。
どちらからともなく肯き合う俺と紺野。

俺は手早く傍に置いてあった避妊具を装着すると、
再び紺野の身体の上にのしかかり、その両足を左右に広げて身体を割り込ませる。
紺野も腕を俺の身体の方へと伸ばして俺をいざなう。
膝を折りたたみ、俺たちの下半身は一点で触れ合う。
俺は……そのまま自分の生殖器を紺野のそれにあてがい、体重をかけて紺野の体内へと侵入させていった……

……んっ……んんんんんっっっっ……

くぐもった吐息を吐き続ける紺野。
侵入と同時に、中の襞がやわやわと俺のものを押し包む。
酔って感覚が鈍っていたこの前と違い、紺野の肉襞が俺のものを絡め取り、吸い付いてくるような感触がはっきりと感じられる。

俺たちは、この前に続いて今日再び一つにつながり、交わりあった……

…ふっ…ふうっ…ふっ…ふっ…ふうっ…
…はあっ…ああっ…はあっ…はあっ…はあっ…

互いを激しく貪りあう俺と紺野。
俺の注送に、声をあげて反応する紺野。
この間と違い、たとえ大きな声を出しても外に聞こえる心配はない。
なによりここはそういう施設なのだから。
紺野もそのぐらいのことはわかっているので、心なしかこの前より声が大きく聞こえてくる。
恥じらい、押し殺している声を聞くのも興奮を高めてくれるが、
こうして遠慮なく快感に反応する声もまた、俺の興奮をさらに呼び起こす。

すでに二人とも全身は汗と体液にまみれてぐちゃぐちゃになっている。
たぶん、部屋全体に俺たちの身体から発するフェロモンと体臭が交じり合った淫靡な空気が広がっているに違いない。
そして、自ら発したその空気が回りまわって俺たちの本能を、欲望をさらに呼びおこす。

…ふっ…ふうっ…ふっ…ふっ…ふうっ…
はあっ!ああっ!はあっ!はあっ!はあっ!

俺たちは相手の欲望を逃がすまいと互いの身体に固くしがみつく。

ぴちゃっ、じゅるっ

と時おり聞こえるのは唇を重ね合い、舌を絡めあって唾液を交換する音。

ぐちゅっ、ぐちゅっ、ぐちゅっ、
と絶えず聞こえてくるのは俺が紺野の中に男性器を注送することで起きる音。
そしてやがて……

「……うっ…紺野……イク……イクよ……」
と、俺はあの時と同じ言葉を吐く。
そして紺野もあの時と同じように何度も何度も大きくかぶりを振る。

その数秒後……
俺は全身を大きく震わせ、ほんの数時間前にモーニング娘。の誰かに吐き出したばかりだというのに、
信じられないほど大量の、ありったけの精を再び紺野の中に放った……

と、同時に紺野も

……ふあっ……ふああああああっっっ………

と、全身を大きく震わせて絶頂を迎えた……


それから……
俺たちはその後…次の日以降も何度も身体を重ね合わせた。
とはいえ、付き合いはじめたとかそういうものではなかった。
互いにどちらかがシたくなったときにお互いを求める。
そして都合が合えばホテルで、あるいはどちらかの部屋で行為に及ぶ。
ありていに言えばセクフレ関係。
俺にとって紺野の身体は実に相性がよかった。
そしてそれは紺野にとっても同じだったらしく、俺の身体はこれまでの誰よりも相性がいいらしい。
(とはいえ、これまで何人の男と経験してきたのかは言わなかったし聞かなかったけれど。)
そんなわけで俺たちは飽きることなく身体を重ねあった。
あのときの帰りのホテルのときも、
最初は休憩だけの予定だったのが結局泊まることになってしまったし、
それを理由にその後3回も行為を重ねた。
4つ並んだ使用済みのコンドームを見て紺野は
「やりすぎだよ〜、もう。エッチなんだから〜」
と笑っていた。
ま、俺から言わせると一晩に4回も(いや、その前のパーティーを含めると5回か)求めに応じ、自分も求めてくる
紺野のほうがよほどエッチでタフだと思うのだが。

さらに、紺野にとってもう一つ都合がよかったのは
俺が芸能人やスポーツ選手などではない一般人だということ。
仮に写真週刊誌などにかぎつけられ、撮られたとしても俺が一般人である限り
記事にはなりにくいだろうという考えもあるようだ。
これまで何度も身近な者がそういう目に遭っている紺野にしてみれば、
それも結構大きな要素ということらしい。

そして……例のパーティーにも俺たちは何度か参加した。
あのパーティーはともすればマンネリに陥りそうな俺たちに刺激をもたらせる。
互いにいつもと違う相手と交わる。
その行為を見ること、見られることで互いの嫉妬と、欲望が刺激された。
その証拠に、パーティーの後は決まって俺たちは普段より激しく求め合い、交わりあった。

俺たちのこの関係がいつまで続くのかはわからないけれど、
しばらく俺と……紺野は互いに離れられないだろうということだけははっきりしていた。
そして……今このときも

……はあっ……はあっ……あんっ……んんっ……はあっ……

と、紺野は俺の身体の下で喘ぎ声を出している……


(了)