大学に入学して、はや半月あまりが過ぎた。 大学生活はこれまでの高校までの生活とは全然違っていた。 なによりも、受ける授業を自分で決めるのと、出席を取らない講義が多いのでその気になればいくらでもサボれるのにはびっくりした。 クラスだって語学のために編成されるぐらいであとはまったく個人まかせ。 語学の嫌いな俺は早速語学をサボリ…… と思っていたのだが、そんな俺の考えを吹き飛ばす事態が起こった。 紺野あさ美。 言わずとしれた元アイドルだ。 その紺野がどういう偶然か、俺と同じ語学のクラスになったのだ。 こんなラッキーなことは一生に一度あるかどうかだろう。 はっきりいって語学なんかどうでもいいけれど、紺野を見るためだけに授業に出席する価値はあると俺は思った。 そして…… さらにラッキーなことにそのクラスの親睦を深めるために週末にコンパを行うことが決定したのだ。 はっきり言ってコンパは非常に盛り上がった。 中でも紺野のはしゃぎっぷりは俺の予想外だった。 これまでTVや雑誌の中で見てイメージしていたのとはかなり違う。 本当にノリのいい普通の女の子、というしかなかった。 イッキ飲みもするし、王様ゲームにだって参加した。 もっともその王様ゲームの相手になったのは俺でキス寸前まで行ったのだが…… それをきっかけに紺野の席は俺の隣になり、俺たちはそれからずいぶんと盛り上がった会話をした。 最初は周囲の男たちから嫉妬の目で睨まれたがそのうち他の話題で別の女の子と盛り上がっていたようだ。 俺としては特に紺野を囲うつもりはなかったのだが、流れでそうなってしまった。 もっとも、それには紺野自身に芸能人としてのオーラがもうあまり残っていなかったことも原因だと思うのだが。 1次会を経て2次会、3次会と徐々に人数は減ってゆく。 しかし紺野は結局最後まで付き合い、終了したのは日付も変わろうかという時間だった。 「じゃあ。」 「ああ。また月曜。」 散会して各自が家路に向かってゆく。 そして俺と紺野、それにもう一人、Bが同じ方向に歩みを進めていった。 「今日は盛り上がったなあ。」 俺が言うと紺野も 「そうらね。あらひも楽しかった。」 と言う。 少しろれつが回っていないのは散々飲んで酔っ払っているせいなんだろう。 よくよく見ると足元もいささかふらついているようだった。 「ちょっと名残惜しいな。せっかく仲良くなったのにな。」 「そうらね。」 俺たちがそう言っていると 「ああ。じゃあさ、これから3人で俺の家で飲みなおさないか?紺野も少し落ち着いたほうがいいだろ。」 とBが声をかけてきた。 「うん、いふいふ。びー君ちちふぁいの?」 「ああ。ここから5分ぐらいだから。もちろんA(俺のことだ)も来るよな。紺野だって一人で男の部屋へなんて行けないだろうし。」 「そうらよ。A君もおいれよ。」 紺野にそう誘われ、そのときの俺はあまり深く考えずにBの部屋に行くことになったのだった。 Bの部屋でも俺たち3人は飲みながら話が盛り上がり、 俺たちは散々飲んで眠くなり床に雑魚寝となった…… どのぐらい時間が経ったろうか。 俺は部屋の甘く湿った重たい空気で目を覚ます。 アルコールが回って寝ぼけながらの俺の目に映ったのは…… ベッドの上で紺野とBが裸で絡み合っている姿だった…… 全裸の紺野の身体の上に同じく全裸のBが覆いかぶさっている。 Bの頭は紺野の胸の中に埋まり、紺野の両手に抱えられている。 紺野の両足は左右に開いて持ち上がり、その間にBの身体が入りこんでいる。 小刻みに前後に動くBの腰。 ……ふあっ……はあっ……あんっ……はあんっ…… Bの頭を抱えながら喘ぎ声を出している紺野。 Bの腰の動きに合わせて紺野の胸がたぷたぷと揺れる。 誰が見ても二人が何をしているかは明らかだった。 その光景を目にして俺は呆然としていた。 いや、現実に何が起こっているのか理解できなかったといったほうが良かったのかもしれない。 このまま眠ったふりをしようか…… また目を閉じようとしたとき、Bがこちらを向いて俺とBの目が合った。 Bは少し口元に笑みを浮かべたかと思うと紺野を抱いていた左手を上げ、俺をこちらへと招く。 え?まさか…… どうしようか。俺も紺野とデキるのか?いや、待て。Bは寝てる紺野を無理やり襲ったのでは…… もし俺がここでいっしょになってヤってしまうと俺も同罪…… いやしかしこんなチャンスはめったに…… さまざまな思いを巡らしながら俺が躊躇していると、そんなBの仕草に気づいたのか紺野も俺のほうを向き、 一瞬にこっと微笑んでうなずくと、かすかに唇を動かして何か言ったようだった。 それは、 ……A君もこっちへおいでよ…… と俺を誘っているように聞こえた…… ベッドの上には紺野とB、そして俺。 もちろん3人とも生まれたままの姿だ。 Bはベッドの上に横になり、その顔の上に紺野が跨って座っている。 俺はその紺野と相対するように座り、互いに身体を固く抱き合って唇を、舌を絡めあう。 くちゅくちゅと聞こえる湿った音。 時折紺野が唇を離すのは下からBの絶え間ない舌の刺激のためだろう。 そのたびに天を仰ぎ甘い吐息を漏らす。 俺は唇を離すと、頭を下に動かして紺野のたわわな乳房に吸い付く。 両手の掌で乳房を揉みしだくと、朱鷺色の乳房を口に含んで転がす。 さえぎるもののなくなった紺野の唇からは ……はあっ……はああっ……ふああっ……はあっ…… と絶え間ない喘ぎ声が漏れる。 そして下半身からはくちゅくちゅと湿った音。 Bの刺激によって紺野のそこからはとめど尽きない泉が湧き出しているに違いなかった。 そのフェロモンの香りが俺の鼻をつく。 俺の頭を、身体を抱える紺野の腕は、時に力をこめ、時に力が抜ける。 時折支える力を失って俺にもたれかかってくる紺野。 俺はその紺野を支え、なおも愛撫を繰り返す。 やがて……頃合を見て俺は紺野がもたれかかってきたときにその身体を支えながらゆっくりと倒れこませてゆく。 ちょうど後ろ手でベッドにもたれかかった俺の股間に紺野の頭が来るようにその位置を調整する。 紺野の目の前にはすでに猛々しく屹立した俺の分身。 紺野はその俺の分身を見ると、一瞬俺のほうを見、そしてゆっくりと自らの唇にそれを含んでいった。 あの紺野が……元アイドルの紺野あさ美が俺のモノを口に含んでいる…… 俺はこの期になってもまだ現実が信じられないでいた。 その反面、もしこれが現実でないのならもっと楽しまないと、とも思っていた。 ぴちゃぴちゃぴちゃと紺野は俺のモノを含み、舌を絡めてくる。 その快感にともすれば俺は精を紺野の口に放出しそうになる。 もしこのままずっと続けられていたら俺は間違いなく保たなかっただろう。 だが、そうでなかったのはさっきと同様、Bの刺激で時折その動きが止まるからに他ならなかった。 そのBはそろそろと思ったのか、ゆっくりと紺野の股間から頭を抜いて起き上がる。 俺がちらっと見ただけでもその口の周りはしとどに濡れている。 それはまごうことなき紺野の愛液。 俺の分身はそれを見たことでいっそういきり立っていた。 Bはゆっくりと紺野の身体を引っ張ってうつぶせにさせる。 そして両手を添えて桃のような尻を持ち上げ、肘をつかせて四つんばいにさせた。 紺野は俺のモノを口に含んだまま、Bに促されるまま尻を上に向けた。 その目の前にいるBにはおそらく、紺野の割れ目から肛門までの恥ずかしい部分があらわにさらされているに違いなかった。 そしてそこがすでに充分すぎるほどに男のそれを受け入れる準備を整えていることも…… Bは自分のものに手を添えるとそのままゆっくりと紺野の中へと挿入を開始してゆく ……ふううううううううううっっっっ…… 紺野は俺のモノから唇を離すと、手でそれを握ったまま深い吐息を吐く。 握る手に力がこもっているのはそれだけ感じているのだろう。 そして力がこもっているのに気づいたのか俺のほうを見て 「……あ……ゴメン…」 と小さく囁いた。 それから手を離し、再び俺のモノを咥えようとする紺野の顔を、俺はゆっくりと離す。 後ろから突かれながらでは紺野だって身が入らないだろうし、前後の振動が伝わってきては俺のほうもそれどころではない。 ……いや、実のところこれ以上紺野の唇と舌で玩ばれてはなにより俺自身が保ちそうになかった。 ここらで一息つきたい…… 正直そういう事情もあった。 俺は紺野の身体を支えながら持ち上げ、自分の身体をその下にと少しだけ差し入れる。 紺野が腕を回すとちょうど俺の腰にしがみつく格好となる。 と、それと時を同じくするように紺野の後ろからBが自分のそれを前後にと注送を始め出した。 …ふあっ…はあっ……ふああっ……ふあっ…… 自分の中を突かれて紺野が再び喘ぐ。 身体に力を入れて堪えてはいるが、Bの動きに合わせて自らの身体も前後に動く。 俺の腰を掴む腕に力がこもる。 紺野の吐息、そして時折飛んでくる汗と涎が俺の下半身を濡らす。 俺は下から紺野の身体のほうに腕を差し入れ、その乳房を、そして乳首をつまんでしごく。 はあっ……はっ……はあっ……はっ…… 漏れ続ける紺野の声。 それが聞こえてくることで一息ついていた俺の分身は再び元気を取り戻す。 ぱんっ、ぱんっ、ぱん、ぱんっ と肉のぶつかる音がする。 紺野の喘ぐ声、そしてBのくぐもった呼吸が聞こえる。 しばらくそれが続いたかと思うと、 やがてBは 「うっ……うっ……」 と低い声を発して動きを止めた。 それがBが果てた結果であることはすぐわかった。 紺野もまた うっ……ううううっ……… と身体に力を入れ、まるで猫が背伸びをするように大きく伸ばす。 Bはゆっくりと紺野から身体を離すと手を添えて自分のものを引き抜いて自らの後始末をする。 Bの右手にぶら下がった風船のようなもの。 一方紺野とはいうと、俺にしがみついたまま金魚のように口をぱくぱくと開けている。 俺はBの全身が紺野から離れたのを確認すると腕を回して紺野の身体を支えながら抱き起こした。 ……次は俺の番だ…… 俺は当然のようにそう思い、互いに正面に向き合って座ったまま紺野の背中に腕を回して再び唇を重ねた。 ゆっくりと唇を開かせ、舌を差し入れると紺野もお返しとばかりに舌を差し入れてくる。 ぴちゃぴちゃぴちゃと舌の絡み合う音が口元から聞こえてくる。 と、精を放出して一息ついていたBが俺のほうにやってくると俺の右手に何かを握らせた。 それが避妊具の包みであることはすぐ理解できた。 ……どうしようか……もうちょっとこのまま…… とも思ったが、紺野だってたった今まで挿入されて高ぶっていたんだ。 どうせなら続けてのほうがいいだろう…… 俺はそのまま紺野をゆっくりとベッドの上に押し倒して足を広げ、その間に身体を割って入らせる。 その刹那、ふと見た紺野のそこ。 下腹部にある繁みは自らの体液でべっとりと濡れぼそり、そのすぐ下の女性そのものはすでに充血してぱっくりと口を開け、俺が入ってくるのを今か今かと待っているように見えた。 俺は手早く避妊具を装着すると、手を添えて紺野のそこにあてがう。 紺野を……元アイドルを抱けるんだ…… そんな意識が俺を興奮させる。 俺はそのまま体重をかけ、自分の分身を紺野のそこへと挿し入れていった…… ………はああああああああっっっっ……… 再び男のものを迎え入れた紺野は歓喜とも受け取れるような声を出す。 侵入と同時に、中の襞がやわやわと俺のものを押し包む。 きつすぎもせず、かといってゆるすぎもしない紺野の中。 アイドルとして……いや、普通の19の女の子として適度にこなれているように俺には感じた。 もちろん、アイドルは処女たるべし、なんて思っていたわけではなかったが、そのこなれ方は 俺にわずかばかりの失望を与えたことは事実だった。 だがそれ以上に、今までTVや雑誌でしか見たことがなかった紺野あさ美という女の子を身近なものとしてますますの親近感を覚えた。 俺の分身が紺野の奥まで達し、固く一つに結びついた俺と紺野。 俺は一呼吸おくと、腰を動かして自分のものを前後に注送させた。 …ああっ……はあっ……はっ……はあっ…… 再び内部から刺激されて紺野が喘ぐ。 俺の背中に回す腕に力がこもる。 紺野の両足は俺の腰に巻きつき、俺を逃がさないようにと挟み込む。 …ふっ…ふうっ…ふっ…ふっ…ふうっ… …はあっ…ああっ…はあっ…はあっ…はあっ… 俺と紺野の吐く息と声が二重奏となって部屋の中に伝わる。 俺の全身から汗が滲み出し、すでに汗まみれになっていた紺野のそれと交じり合う。 長いような短いような、永遠のようなそれでいて一瞬のような時間。 俺たちはただの二匹のケモノとなってまぐわり合う。 無限とも思えるような注送を繰り返し、やがて時の流れとともに 「……うっ…紺野……イク……イクよ……」 限界を迎えつつあった俺がそう囁くと、紺野は何度も何度も大きくうなずき返してくる。 そして……俺は精をその中に放った…… と、同時に紺野も ……ふあっ……ふああああああっっっ……… と、今日何度目かの絶頂を迎えた……… その後も、俺とBは何度も何度も紺野を抱いた。 時には交代で、そして時には同時に紺野と交り、その身体をむさぼる。 使用済みのコンドームが一つ、また一つと部屋に増えてゆき、 交わりを繰り返すごとに3人の汗と……オスとメスの匂いが部屋に充満してゆく。 紺野もまた俺とBの欲望をすべて受け入れ、時には積極的に、時には大胆に自分から俺たちに返してくる。 いつしか空が白み始め、文字通り精も根も尽き果てた俺たちは裸のままぐったりと床に転がっていつしかうとうとと眠りはじめていた。 そして……どのくらい時間が経ったのだろう。 俺が水音で目を覚ますと、ちょうど紺野がシャワーを浴びてバスルームから出てくるところだった。 もちろん裸などではなく、きちんと衣服を整えている。 その紺野の表情は俺が寝ぼけまなこだったのか、それとも紺野のほうが湯気で上気していたからなのか 昨夜よりきれいに、艶やかになっているように見えた。 その時俺は SEXが女をきれいにするっていうのは本当だったんだ…… との巷の俗説をあらためて信じざるを得なかった。 紺野はそんな俺の心中を知るわけもなく、まだ裸で転がっている俺とBに向かって 「ほら、早く起きて。朝ごはん食べに行こうよ。」 と何事もなかったかのように元気に声をかけてきた。 ファミレスでモーニングを食っている俺と紺野、そしてB。 他愛無い世間話であらためて盛り上がりはしたものの、誰一人として昨夜の俺たちの行為を口にする者はいなかった。 酒の上での行い。 あるいは一夜限りの、夢かうつつかわからない中でのうたかたの出来事。 おそらくそう暗黙の合意が3人の中で出来上がっていたのだろう。 だが、昨夜のそれが現実であることは俺の全身に広がるけだるさと、見上げた太陽の黄色さで明らかだった…… その日そこで解散してからは、紺野とそういうことをする機会はめぐってこなかった。 週明けの月曜はもちろん、それ以降もキャンパスやクラスで会ってもあたりさわりのない 単なる友達の会話に終始してそれ以上になりそうな気配すらなかった。 俺に下心がなかったとは言わないが、そっちの方向に行こうとするとうまくかわされてばかりいた。 そうなると俺のほうも次第に覚めてきてしまう。 いつしか俺のほうもあの時のことを忘れたかのように、いや、はっきりと覚えているのだが……単なる友達として紺野としゃべるようになってきていた。 一方のBはというと、こちらも元アイドルを1度抱けたことだけで満足してしまっているのか、 さっさと彼女を作ってそれなりに楽しいキャンパスライフを送っているようだった。 もしかすると、俺とBのほうが紺野の性欲の解消に使われただけなのかもしれない。 そんなことすら感じられるぐらいだ。 さっきの授業も紺野とは一緒だったが彼女は授業が終わると 「あっ、じゃああたしこれからサークルに出るから。またね。」 と、通りいっぺんの挨拶をするとそそくさと教室を後にしていった。 ……あんなに激しい一夜を過ごしたのに……女というものはわからん。 俺は今さらながらそう思うのが精一杯だった。 (終わり)