エピソードY 番外編01 

「じゃあねー。こんこんに迷惑掛けちゃダメだよ。」 
「何やざぁ〜。それ。」 
「じゃ、面倒くさいだろうけど今晩は愛ちゃんの相手してあげてね。こんこん。」 
「うん。仕方ないけど。じゃ、試合頑張ってきてね。」 
「も〜、あさ美ちゃんまで。あーしは小っちぇー子供か?」 
「「うん。」」 
「ぅあ゛〜〜。」 

今日、土曜日の夜。愛ちゃんの御両親は旅行だそうだ。たまにこういう事はあるらしい。 
で、そんな時、寂しがり屋の愛ちゃんは、お豆こと、里沙ちゃんの家に泊まりにいくのが殆ど。 
でも肝心の里沙ちゃんは、今週末はバスケ部の試合で遠征。 
そんな訳で今宵は私、紺野が愛ちゃんを預かる事になった。 
実はウチはウチで、妹も一緒に親が旅行に出かけちゃったから私も一人。 
私も寂しがりやだから丁度良かった。 

だからといって、友達の家に泊まりにいくのは別に特別な事じゃない。勿論女の子の家同士だけど。 
おとといから腰痛で学校を休んでる麻琴とかも含めて、割と頻繁に泊まり合いっこしてるから、 
各家に各々のお泊まりセットの欠片があったりする。 
お泊り会の日は夜更かししてビデオを見たり、学校での話しの延長を延々としたり 
学校では話せない噂話や恋愛話、えっちな話をしたりと、一種のイベントみたいだった。 

お豆を送り出した後、愛ちゃんと二人で街へくりだし、プリクラ撮ったり可愛いショップを覗いたりして、 
結局、私の家に着いたのは平日よりもちょっと遅め。 
だけど、長い夜に向けてコンビニでの食料調達は忘れてません。 
でも、後先考えずの愛ちゃんと優柔不断で大食漢の私って、ある意味最強のコンビなのかもしれない… 
「あれも食べたいなぁ。」「これもいいなぁ。」「あ、新製品。」とか私が迷っていると 
「じゃ、全部籠に入れてまえ。」ってボンボン入れちゃう愛ちゃん。 
で…二人で大きな袋6つって一体…… 

「あー。あさ美ちゃんの部屋、久しぶりやぁーー。」 
部屋の隅に荷物をドサッと置いて、制服のままベットに飛びこむ愛ちゃん。 
「んへへへへ。あさ美ちゃんの匂いやぁーー。」 
枕に顔を擦りつけてるし。今日はテンション高いね。 
「おいで。あさ美…。」 
おまけに、宝塚の男役みたいな身振りと声でなんかやってるし… 
こんな変で面白いのに、「自分って面白くない。」って言うのが不思議でならないよ… 

「はいはい。早くご飯食べるよ〜。」 
そんな愛ちゃんを軽くあしらい、コンビニ袋をガサガサやる私。 
「お弁当。僕の変わりにあさ美を幸せにしておくれ…。」 
変な役を引き摺りながら、愛ちゃんも遊ぶのを止めてコンビ二袋に取り付いた。 

テレビに向かってあーだこーだ突っ込みながら、ひとしきりお弁当と格闘する二人。 
早々と食事を終わらせた愛ちゃんは、私のお弁当にちょっかいを出すのも飽きたのか、 
自分の鞄をゴソゴソやりはじめた。 

「ジャジャ〜ン!でーぶぃでー!」 
ラベルも何も無いディスクを取り出す愛ちゃん。 
「何?何の映画?」 
「…実は…家庭教師の先生にだびんぐしてもろぉたんよ。あーしもまだ見てえんけど。」 
顔を近づけて、ないしょ話をする様にヒソヒソ声で言う愛ちゃん。 
「で、どんなの?」 
とりあえず最近出たばかりの物だろうと期待しながら、身を乗り出して聞いてみる私。 
「えろいやつ。」 
「…は?」 
箸で掴んでた里芋、落としちゃったよ。 
家庭教師にえっちなビデオをダビングしてもらったんですか…あなた… 
「雑談しててぇ、そんな話しになってぇ、見たこと無いっていうたら保田先生が持って来てくれた。あ、女の人だよ。」 
……素晴らしい先生で。 

「あさ美ちゃん、見たことある?」 
「え…あ…な、何を?」 
「何を。って、えっちなビデオ。」 

まさか彼に借りて見た事あるなんて言えない。おまけに自分でダビングして頻繁に見てるなんて… 
ビデオどころか、男の子のおち○ちんを擦っちゃったり、つい一昨日は精液を舐めちゃったなんて、 
どうあったってバレる訳にはいかない…… 

「な…無い。」 
あやうく、あの時の感触、光景、味、その他諸々を思い出して妄想しちゃいそうになった。危ない危ない。 
色々と動揺しつつも、体勢を立て直してとりあえず誤魔化しておく。里芋も口に運ぶ。 

「そうやろぉー。ビデオ屋さんでなんて、恥かしゅうて借りれんもんね。いんたーねっとで拾えるらしいけど、あーし、よーわからんし。”うに”だか”ぴーえすぴーだかって。」 
ちょっと恥かしそうにほっぺを赤らめながら言う愛ちゃん。でもどこか嬉しそう。 
これのせいで今日は変なテンションなのかな…? 
とりあえず事態は解かった。家庭教師の先生がインターネットで拾ったアダルトビデオをダビングしてくれたのね。 
で、それを見ようと。 
自分で買ってとか借りてとか、男の人みたいな大胆な人じゃないのはよかった気がする… 
くねくねしながらいや〜んとか言って、一人身悶えてる愛ちゃん。 
それにしても、こんな純な恥かしがり方をしている愛ちゃんを見ていると、 
自分があまりにも汚れてしまっているように思えて、なんとなく気分が沈んでしまった。 

そんな私をよそに、「さ、勉強、勉強。」なんて言いつつディスクをセットし、クッションを抱えて準備万端の愛ちゃん。 
やっぱり女の子は皆興味あるもんね。もう、期待からか目がキラキラしてる。 
早くっ。って目が訴えてるよ… 
私もお弁当を食べきった後、愛ちゃんの隣に座り、クッションを抱えてリモコンの再生ボタンを押した。 

普通のテレビドラマでも、ラブシーンとかは自分意外の人が居ると照れちゃってマトモに見れない私。 
それがえっちなビデオなら尚更照れちゃう。というか、恥かしい。 
私は目だけクッションの上から覗かせ、呆気に取られてテレビ画面を見ていた。 
隣では顔を真っ赤にしながら、口をあけて呆然と画面を凝視している愛ちゃん。 
私も顔が熱い。こんなビデオだったなんて… 

画面の中には丸裸の男の人が一人と女の人が二人…それもモザイク無し… 
男の人を二人で攻めたり、一人の女の人が残り二人に攻められたりしてる… 
うわっ。男の人にあそこに入れられてるのに、女の人同士がキスしちゃってるよぉ…… 
すごい…口から糸引いてる…あのキスって気持ち良さそう…… 
なんだぁ?!今度はおち○ちんのオモチャみたいなので女の人同士が繋がったよぉぉ…… 
…うわぁぁ…ひぇぇぇ…うっそぉぉ…そんなとこもぉ?…… 

あまりにも強烈だった。私が彼から借りたビデオなんて、ソフトで可愛いものに思える程… 
見ている途中、愛ちゃんも私も全く言葉を発する事無く場面は進んでいく。 
終わってからも、あまりの衝撃に全くの沈黙。 
こんなの見た後、どんな会話をすればいいのよぉ………濡れちゃったし身体が火照っちゃってるしぃ… 

「…凄かったねぇ…あ、とりあえずお風呂入っちゃおうか。」 
沈黙を打ち破ろうと、とりあえず思い浮かんだ事を言ってみる私。 
…しまった。 
女の人同士の絡みを見たばっかりなのに……誘ってると思われちゃったかも…… 
だからと言って、お泊りの時は一緒にお風呂に入ってキャイキャイやって楽しんでるのに 
今日は別々っていうのも、それこそ意識してると思われちゃうし…… 

「……」 
あれ?なんか反応が無いんですけど… 
「愛ちゃん?」 
既に普通の番組に戻った画面を、まだびっくり顔のままで見つめながら固まっちゃってる。 
「…愛ちゃ〜〜ん?」 
愛ちゃんの顔の前に手を翳して呼びかける私。 
「…うえ゛っ?!」 
目玉が落ちそうな顔をして、やっと現実に戻って来てくれた。 

「お風呂入っちゃお。まだ制服のままだったし。」 
「あ、そだね。」 
愛ちゃんは赤い顔をしながらも、特に変わった感じも無く返事を返して立ちあがる。 
…やっぱり意識しちゃう私がおかしいのかな?…… 
…えっちな匂いがするけど愛ちゃんに嗅がれちゃったかな……恥かしいよぉ… 

着替えとパジャマを持って二人で階段を降りて行く。 
先を行く愛ちゃんは変な鼻歌交じりで、いつもの変さと変わらない。 
私の方は、さっきの女の人同士で絡んでいた場面が頭の中でリピート再生されっぱなし。 
糸を引く唇と唇。 
同性にあそこを舐められて身悶える様子。 
繋がったあそことあそこ。 
……女の人同士のえっちにも興奮するなんて、やっぱり私っておかしいのかも。 

脱衣所に入って服を脱ぐ。なんだか恥かしくって愛ちゃんに背を向けてしまう私。 
あ…やっぱりパンツこんなに濡れちゃってたかぁ… 
彼と色々有り始めて以来、どうも濡れやすくなってる気がする… 
いつも手洗いだから、そのパンツは小さく丸めて手の中に握り込む。 

裸になって、ふと振り向いた私の目に飛び込んできたのは、 
私に背を向け、ちょっと前かがみになってパンツを脱ぎかけている愛ちゃんのぷりんとしたお尻。 
そして、その間にある女の子の大事なあそこ… 
そこは、私とは比べ物にならないくらいに濡れ光っていた…… 

ふとももを下がって行くパンツがスローモーションのように私の目に映る。 
パンツの中に自然に目が行ってしまう… 
そこは見ちゃったのが恥かしいくらいベットリと濡れていた… 
愛ちゃん…こんなに興奮してたんだ…… 
愛ちゃんの濡れたパンツとあそこを見ちゃって何故か興奮してしまう。 
漂ってきた私のよりも甘酸っぱいえっちな匂いと共に、私のあそこから新たな液が湧き出すのを感じた。 

何で?何で?…愛ちゃん女の子だよ??… 
自分の身体の反応に戸惑ってしまう。 
「見ちゃいけない」と思いながらも、愛ちゃんの足首から抜かれようとしているパンツから目が離れない。 
いくら、あんなビデオを見たからってそんな… 

私の視線を感じたのか、愛ちゃんがこっちに振り返りそうになった。 
私は慌てて顔を逸らし、お風呂場のドアを開る。 
あそこをお湯で洗い、身体に掛け湯をして早々と湯船に飛び込んだ。 
…髪まとめるの忘れてたけど、どうせ洗うからまぁいいか。 
すっかり重くなった髪を、お湯の中で適当にまとめて頭に乗せた。 
熱いお湯が、さっき私が愛ちゃんに対して反応した罰みたいに刺さってくるみたいだった。 

男の子どころか、女の子の身体にまで反応しちゃうなんて、私ってつくづく変態だ…… 
凹む気持ちと共に、口元までブクブクとお湯に沈み込んだ。 

「あさ美ちゃん。先に入っちゃうなんてずるいやよ」 
開け放たれたドアの向こうで、タオルで髪をまとめている愛ちゃん。 
何も隠さず、目の前に曝け出されたその裸に目が釘付けになる私。 
頭の中では自分を「変態」と罵倒しながらも、目は勝手に見てしまう… 
何度も見たことがある裸が、妙に艶かしく見える… 
白く張りのある肌、程好い大きさの胸、細身でなだらかなウエストライン、申し訳程度に茂った毛… 
そして…見上げる形になって見えちゃっているあそこ… 
閉じてはいるが、割れ目周辺が若干濡れて光って見える…… 
……触れてみたい… 
舐めるように愛ちゃんの裸を見ていた私の目が足元で止まった。 

一瞬戻ってくる正常な意識。 
あ、私のパンツ… 
愛ちゃんの足元に、くしゃっとなって転がったそれ。 
御丁寧にも濡れたクロッチの部分がバッチリ見えちゃってる… 

「……」 
見つかった!愛ちゃんに私が濡れちゃってた事がバレちゃった… 
「あ、あ、あ」 
慌てて浴槽から手を伸ばしてそれを掴もうとする私。 
それより早く、汚れたそれを躊躇なく拾い上げる愛ちゃん。 

無言のまま私の目の前にしゃがんで、それにお湯をジャバジャバ掛けていく… 
続いて自分のにも。 
まるで、お互いのえっちな部分を否定するように、パンツ全体が濡れていく…… 
だけど、私の中ではえっちな部分は燻ったままで消えてはくれない。 
「やっぱり、ああいうの見ちゃうと興奮しちゃうね」 
愛ちゃんは恥かしそうに顔を赤らめながら、「にひひひ」って笑いかけてくる… 

…そうじゃない。ううん。それもあるけど、今、私は愛ちゃんに対して欲情しちゃってたんだ。……変態なんだよ… 
今も目の前で、愛ちゃんのあそこを見ちゃってるんだよ…そして興奮しちゃってるんだよ……そんな笑顔で見ないでよ… 

勝手に気まずくなり、無言のままでお湯に沈む私をよそに、愛ちゃんは身体を、そして髪を洗って行く… 
その光景を眺めながら、どんどん沈んでいく私の気持ち。 
「いやぁ、えっちなビデオってあんな凄いなんて知らんかったぁー」とか 
さっきのビデオの感想を色々言っているみたいだけど殆ど耳に入らない。 
「うん」とか「そうだね」とか適当に相槌を打つばかり… 
どうしたらいいんだろう…大事な友達に対して、こんな汚い気持ちを持っちゃうなんて… 

「ねぇ?聞いてる?」 
「あ。…う…ん……」 
「うん。じゃなくって、背中洗ったげるから早く上がりよって」 
ペシペシと私の頭を叩いて自分の前へと私を促す。 
「もう、茹ったか?」 
いつもみたいな笑顔の愛ちゃん。 
そんな笑顔を見ると泣いちゃいそうで、すぐさま背を向けて髪を洗い始める私… 
自分の汚い部分を洗い流そうと頭をガシガシ掻いてみてもどうにもならないよ… 
背中を洗ってくれている感触があまりにも優しくって、逆に辛くなってくる。 
涙が出てきた… 
泣いてるのを気付かれたくなくて、頭を落としてお湯を大量にかける私。 

……私なんて…私なんて…性欲だけの人間なんだ………淫乱で最低の人間なんだ………… 

「…あんさぁ…あさ美ちゃん」 
ザバザバお湯をかぶっている私に愛ちゃんが話しかけてくる。 
「……な、なに?…」 
「あさ美ちゃんって女の子に興味ある?」 
「え?え?な、何で?」 
驚いて愛ちゃんを振りかえる私。 
「……試してみよか」 
その言葉を理解できないうちに、振りかえった私の唇に柔らかい物が触れた。 
片方の腕で身体の前から肩を抱かれ、もう一方の手でほっぺをそっと押えられ、固定される。 
…柔らかい…あったかい…涙が止まらない… 
私の勝手な思い込みかもしれないけど、「許してあげる」って言われてるみたいに、その感触は優しかった。 

暫くの後、唇がそっと離れていく… 
肩越しに、両腕で後からギュッと抱きしめられる。愛ちゃんの体温が伝わって来る。 
私はその腕にしがみ付くようにして、暫く泣いた。 

「ごめんなぁ、あさ美ちゃん。いきなりチュ−してしもて……」 
「…そんな泣かんでよ…なんかあさ美ちゃん見てたら…つい…あーしって何やってるんやろ」 
泣くばかりの私に、愛ちゃんは申し分けなさそうに謝る。 
「ううん…違うの……私のほうが酷くて汚くって……」 
今まで押えていたものが溢れ出すみたいに、私が今、愛ちゃんに対して思っちゃってたこと、 
そして、いままで彼に対してしちゃったこと、自分はおかしいんだ。っていうことを泣きながら吐き出していた。 

私が話し終っても愛ちゃんは強く抱きしめてくれたまま… 
気持ちも徐々に落ち着いてきて涙もやっと止まった。 
そのかわり、身体の冷えを感じ始める。でも、背中と、愛ちゃんの顔がある左のほっぺはいつまでも温かい…… 
「大丈夫だよ。おかしくなんかない」 
愛ちゃんの声が聞えた。 

そのまま愛ちゃんは話しつづける。 
「女の子だってみんなえっちなんだよ。好きな人が相手だったら尚更そう思うし、そうなりたいと思う。 
できれば自分の汚い部分も受け入れてもらいたいし、相手の汚い部分も自分に曝け出して欲しい…。 
だけど嫌われちゃったら怖いから、そんな事普通はみんな言わないんだろうけど。 
多分ね…あさ美ちゃんって本能と気持ちのバランスが上手く取れてないだけなんだよ。 
あとは、色々まじめに考えすぎちゃうんだよ。気持ちに素直に、時々は我侭になってもいいんだよ… 
気持ちも貯め込まないで、ちゃんと外に出さないとおかしくなっちゃうよ」 
いつもとは違う落ちついた声で、そして訛りもなく真面目に話すその声が私の身体に染み込んでくる。 
また涙が溢れてくる。……ありがとう……愛ちゃん……… 

だけど、その、らしくない愛ちゃんがおかしくって、どうしても笑いも込みあがって来てしまう。 
「ぐすっ…ぐすっ…んへへ…」 
「ひっで!せっかく人がちゃんと話ししとんのに。この、変態女」 
「だって愛ちゃんお姉ちゃんみたいなんだもん…んふふ。ぐすっ。…でも…ありがと…ぐすっ」 
「そもそもあさ美ちゃんって性欲強いんだで。その自覚がのぉだけで」 
私が立ち直ったのに安心したのか、愛ちゃんは笑いながら、私の両胸をギュッと揉んで悪戯する。 
「ぐすっ…そんな事ないもん!愛ちゃんだってビデオ見てあんなに濡れてたじゃん」 
私はそう言って、お返しとばかりに、後手に愛ちゃんのあそこに指を這わす。 
「ひゃうん!」 
逃げる愛ちゃん。 

「あんなぁ。あんな短かぁスカートばっか履いたり、肌露出する服着てる人間が何ゆうとる。ありゃあ犯罪や」 
「可愛い服着たっていいじゃんかぁ…」 
「あんなかっこされたら女でもムラムラくるってーの。誘ってるとしか思えんがし」 
「…そんなもんなのかな」 
「そういうもんだで。そんな気のぅやったら、肌出さへんざ。ほんに、こんな乳しよってからに。襲うぞ。」 
指の間で乳首を挟まれながら、また胸を揉まれた。ついでに首に噛みつく愛ちゃん。 
「……」 
「こら、黙んな。恥かしいやろが…」 
私の胸にあった手をお腹に移動させて背中に圧し掛かる。 
「…試してみよか。ってさっき言ってたよね」 
「……あ、あれは…なんか……あさ美ちゃんの視線感じて…ちょっと…あーしのあそこ見てたやろ…… 
濡れたトコ見られてるって思っちゃったらドキドキしちゃって。こう… 
んで、あさ美ちゃんの背中洗ってたら、綺麗だなぁーって…ちょっと……んでキスしたぁなって…」 
ワタワタとどもりながら、早口で捲し立てる愛ちゃん。可愛い。 

愛ちゃんも私と同じなんだ…さっき言ってくれた通り大丈夫なんだ…… 

「…しよっか。…ビデオみたいの……」 
私は素直に自分自身の欲求を曝け出してみた。 

私のお腹に回したままの愛ちゃんの手を握り、肩に乗っかっている顔を伺ってみる。 
赤い顔してちょっとこっちを向いてくれた。 
そして照れくさそうにしながらも、くしゃっと笑い返してくれる。 
そのままどちらからともなく、今日二度目のキス。 

愛ちゃんはグイグイと唇を押し付けてくる。でも強引じゃない。 
柔らかくってなんだか甘くって、私を包むみたいに求めてくる。 
一旦離れ、今度は啄ばむみたいに軽く触れて離れたり。 
くすくす笑いながら、お互いのほっぺにしたり鼻の頭にしたりおでこにしたり… 
離れる度にお互いに微笑みかける。 
そしてまた目を瞑って、長く唇同士が触れるキス…… 

自然に口が開いたところに舌が入ってくる。熱くってヌルッとしてて気持ち良い… 
私もその舌に応戦するように、自分の舌で愛ちゃんを絡め取る。 
交じり合うお互いの唾液…甘噛みされる舌、唇…熱い吐息……脳みそが溶けちゃいそう…… 
キスがこんなに気持ち良いものなんて……… 
もう、延々とこうやって居たいくらいに温かくって幸せで、そしてえっちだ……… 

チュッ音を立てて、口から零れそうな唾液を啜りながら唇が離れる。 
「続きは部屋でしよ…」 
ポーッと紅潮した顔で私にそう言う愛ちゃん。 
おっきな目が潤んでてキラキラしてて凄く綺麗…漫画の女の子の目みたい…… 
私の腰を抱きながら自分の方を向くように手を引いて、立ちあがらせてくれる。 
キスをしながら、そして胸やあそこを悪戯しながらお互いの身体を拭いて行く。 
私も愛ちゃんも、乳首はピンと勃ち、あそこはえっちな液でベットリと濡れてしまっていた…… 

洗い髪もろくに乾かさず、裸のまま手を繋いで私の部屋に向う。 
手を繋いでいるだけでドキドキしちゃう。 
お互いの顔を見る度、照れちゃって。でも嬉しくって。 

ベットの上で、横向きに向かい合う二人。 
「なんか照れてまうで」 
「そだね」 
お互いの胸が潰れて苦しいくらいに、ギュって抱き合って三度目のキス。 
愛ちゃんの舌を噛んで、口の中に戻せないようにしてみたり。 
「ひゃひゃひひゃん。ひゃひゃひひぇひょ〜」 
笑顔のまま困ってる。放したくないけど仕方ないから放してあげよう。 
「いくら美味しいからって、牛タンじゃねぇんざぁ」 
「新商品の愛タンだ。やっぱり新製品は試してみないとね」 
「ぷっ…つまんね」 
ぷくーって膨れながら、絡めていた脚を愛ちゃんのあそこに擦りつけて無言の抗議。 
「はっ…んふぅ…」 
…これが愛ちゃんが感じている表情なんだ…… 

えっちな事を、それも親友の愛ちゃんとしてるのに気持ちが落ち着いている。 
おまけに、つまんない洒落まで言えちゃう。 
あそこはジンジンしちゃってこんなにも興奮してるのに… 
自分を出しちゃうと、こんなに楽になれるんだ…… 
受け入れてもらえると、こんなに幸せなんだ…… 

目を瞑り、愛ちゃんの胸に顔を埋めて心臓の鼓動と体温を感じてみる。凄く温かい。 
愛ちゃんの事をもっと知りたい…私の事ももっと知って欲しい……愛ちゃんもぶつけて欲しい…… 
性欲と気持ちの部分が、一緒のタイミングで愛ちゃんに向かっている気がした。 

私の頭を抱えて、髪を手ですいていた愛ちゃんがいつものトーンで言う。 
「あ、さっき言うの忘れとったけど、軽い好奇心だけで行動はせんようにね。 
それじゃ単なる淫乱になってまうから」 
「…うん」 
「ま、気持ちが許せて信頼できる相手でなけりゃ、えっちな好奇心なんてぶつけられぇんけどな」 
「…そだね」 
「…恥かしいけどな」 
「…でも、それも気持ちいいし」 
「やっぱあさ美ちゃんって、すけべえや」 
「愛ちゃんだって、私にあそこ見られて感じちゃってたんだから、同じ位すけべえや」 
私は愛ちゃんの口調を真似て言い返す。 
「すけべえ同士やな」 
顔を赤く染めながら、くしゃくしゃになって笑いかけてくる愛ちゃん。 
そして、もう何度目かの深いキス。 

「今日は、あーしが誘っちゃったから、あさ美ちゃんは何も考えんと素直に感じてな…」 
愛ちゃんはそう言って私を仰向けにし、体重をかけてきた。 
その重さが幸せの重さみたいで、胸が熱くなる… 
私は目を瞑り、力を抜いて愛ちゃんの重さを感じながら、滑らかな背中に腕をまわした。 

愛ちゃんの口は、私の身体中を吸ったり、舌を這わしたり、甘噛みしたり。 
服で隠れる部分は強く吸い上げ、自分の印を点けるみたいにキスマークを私の肌に刻んでいく。 
柔らかくて温かい手は、胸やあそこには全く触れずに脇腹、下腹、内もも、 
更には背中までをやさしく撫で回す… 

私を攻めつつ、愛ちゃんも自分のあそこを私の脚に押し付けて快感を拾っている。 
愛ちゃんのえっちな液が熱くてヌルヌルしてて… 
私の身体で興奮してくれてるんだと思うと、すごく幸せ… 

意外なところからの性感に驚き、その快感にただ溺れていく私… 
そして幾度となく愛ちゃんの唇を求める私… 
両乳首もあそこも、痛いくらいにジンジンしちゃって堪らない… 
頭の中はぬるま湯にずっと浸っているみたいに、ポワンとして働かない… 
耳を甘噛みされ、その中に息を吹きかけられる。舌が入り込む…… 
「ふぁっ」 
ゾワッして力が抜けちゃう不思議な快感に、今まで我慢していた声がおもわず出た。 
「遠慮せんで声出してええよ。あさ美ちゃん…どこが気持ちええか言ってね」 
私のお尻に手を回しながら耳元で囁く…… 
やっぱり恥かしくって、何も言えずにギュッと目を瞑ったままで頷く私… 

「ふあぁぁぁん!!」 
予告もなく両乳首を摘まれ、あられもない声を張り上げてしまう。 
待ち焦がれていた分、強烈な快感の波に襲われて全身が反り返る… 
いまだに触れてもらえないあそこから、大量のえっちな液が垂れるのを感じた。 
身体の中から何かが飛び出しそうで、思わず頭の下の枕を握り締める…… 

…おかしくなっちゃうよ……でも…もっと……もっと………… 

私の願いを解かっているかのように、愛ちゃんは私の乳首を転がしつつ、 
あのビデオみたいに股間に顔を埋めてきた…… 

「ひぇっ!?そこっ…はっ!ふあぁぁぁぁんっっっ!」 

逃げようとする私の腰は、愛ちゃんの器用な腕でがっちり固定されたまま… 
鼻でポッチを擦られ、襞の間を熱い舌が動き回る… 
溢れ出す私のえっちな液を全て舐め取るみたいに。深く。そして丁寧に…… 

「んくっ!っはっ!ふあっ!んんんんんっ」 

…舐められちゃうなんて恥かしいよ…でも…こんなに気持ち良くなっていいの?! 
……あたし壊れちゃうよ……破裂しそうだよ…… 

愛ちゃんが私の胸を揉んでいる腕にしがみ付く。息が苦しい。 
あの、初めて彼のおち○ちんを悪戯した時のような、ふわふわした感覚が湧きあがって来る。 
腰が勝手に動いちゃって、両足で愛ちゃんの頭を抱えてしまう…… 
剥き出しにされたポッチを”ちゅるん”って吸い込まれる度、頭の中に火花が飛ぶ……… 
もう、後はよく解らないままに愛ちゃんが与えてくれる快感の波に翻弄され、 
そして身体が表わすがまま、私は喘ぎ。悶えた。 



我に返った時、私はまた愛ちゃんの胸の中だった。 
「あ、あさ美ちゃん。おはよ」 
何時の間にか寝ちゃってたらしい。カーテンが引かれた窓は既に明るくなっていた。 
「昨日は気持ち良かったね」 
「…うん」 
自分の乱れ方を思い出しちゃって、恥かしくってそれだけ言うのが精一杯。 
寝起きでむくんで、おまけに赤くなっちゃったであろう顔を見られたくなくって、 
ずりずりと胸の谷間を超えて、お腹のほうに顔を移動させて丸まる私。 
微かに甘い愛ちゃんの匂いに、ほんのちょっと汗の匂いもする…なんだか幸せ… 

「軽くイっちゃったみたいだったやね」 
ニヤニヤしながら私の顔を覗き込む愛ちゃん。いじわるっ。 
「イク」ってよく解らなかったけど、あれがそうなんだぁ… 
あれで軽いなら、本当にイっちゃったらどうなっちゃうんだろ…… 

「そういや、わたしばっかり気持ち良くなっちゃってごめんね…」 
「は?あさ美ちゃんも、あーしんこと気持ちよーしてくれてたざ。覚えてへんが?」 
…全く覚えてません。一体どんな事を愛ちゃんにしちゃったんでしょう?…私。 
「あ…あたしって、愛ちゃんどんな事しちゃったの?…」 
愛ちゃんのお腹から顔を離して、恐る恐る聞いてみる。 
「あーしがしたみたいの真似て、同じよう事…やけど…。おまけにキスマークつけすぎや」 
そう言って愛ちゃんは舌を出してそれを動かしたりタコチュ−したり。 

……うわっ!あたしったらそんな事しちゃってたの?? 
言われてみれば、愛ちゃんの体のあっちこっちにキスマークらしき内出血みたいのも沢山ある… 
あまりの恥かしさに、愛ちゃんの顔を見たまま真っ赤になって、硬直してしまう私。 
「すごかったで。食われるかとおもぉた。まさか指入れられるとは思わんかったけど」 
そう言って、私みたく真っ赤になりながらも、ニコニコ笑ってる愛ちゃん。 
ん?…なんか問題ある感じがするんですけど…その言葉。 

「え?え?私、愛ちゃんの処女破っ……」 
「あーし、もう無いし。まだ処女やけど」 
私が言い終わらないうちに、言葉を被せる様に平然と愛ちゃんが言う。 
あまりの事に、ガバッと飛び起きる私。 
彼が居るとか付き合ってるとか聞いた事も無かった。 
それこそ男っ気が全然無かったのに…… 
…あれ?処女だけど無いって一体…?? 

「あんな…あーし、石川さんに貰ぉてもらったんざ。指で…」 
「……」 
「知っとるやろ。卒業しちゃったけど、あの石川さん…」 
勿論知ってる。学校のマドンナだったんだもん。 
「相手は女の人だけど、本気で好きやったけ」 
笑いながらそう言うが、愛ちゃんはどこか寂しそう… 

「あーしも、昨日あさ美ちゃんが言ってくれたみたいな時期あって… 
辛くって苦しくって…だけど思い切って石川さん本人に言ぅたら、 
受け入れてくれて慰めてくれて…… 
だから、あーしが言ったのは全部石川さんの受け売り」 

自分の重い過去も、愛ちゃんは笑顔で私に話している。…強いな。愛ちゃんって… 
「今はもうダメになったやけど、石川さんとそうなったんは後悔してへんし、 
むしろ嬉しかったし…」 
「最近のあさ美ちゃん。あの時のあーしと同しみたいやったから… 
今にも壊れそうやったから守りたいと思ぉたら、なんか他にも…こう… 
欲情というかなんといぅか……」 
最後の方は、なんか気まずそうなトーンになっていた。 

「…じゃぁ、私とこうなったのってキッカケは同情?愛情?性欲?それとも単なるはずみ?」 
してる時は、向かってくる愛ちゃんの愛情を確かに感じた。 
だけど、どうしても同情、そして単なるはずみでしちゃったみたいに思えてしまう… 
身体を重ねるのってそんなに簡単でいいんだろうか…… 

「どれがホントのキッカケかわからん…でも、気持ちが基本に無かったらせんと思ぅ… 
それに後悔してぇんし、あさ美ちゃんとああなれて嬉しかったし」 
私の突然の質問にちょっとシュンってなりながらも、私の目を見て話す愛ちゃん。 

「あさ美ちゃんは後悔しとる?…」 
おずおずと聞いてくる。 
「ううん。」 
私は何の引っ掛かりも無く首を振る。 
おどおどしてた愛ちゃんの表情が、パァーっと笑顔になった。 
女の子同士だけど後悔なんてしてないし、愛ちゃんが思ってくれたのと同じように嬉しかった。 
確かに女の子同士ってどうなんだろう?っていう好奇心はあった。 
だけどそれ以上に”愛ちゃんと”心まで抱き合いたいっていう強い想いがあった。 
「じゃ、ええよね?」 
そう言った愛ちゃんにギュって抱きしめられる。 
この抱きしめてくれる腕の強さは、絶対に愛情だと確信できた。 

キッカケよりもその後。後悔しなければそれは多分正解なんだ……… 
相手からの愛情が感じられなかったら自分が傷つくし、寂しいんだろうけど… 
色んな事が吹っ切れた気がした。 

なんか身体はだるいけど凄く元気になれた感じ。 
あ、だるいのは頑張っちゃったせいか… 
愛ちゃんに抱きしめられながら、裸で抱き合うのっていいなぁー。なんて、 
しばらくニヤニヤしながら、ただまどろんでいた。 

それを打ち消す「グー」っていう私のお腹。 
「あさ美ちゃんはやっぱ、色気より食い気かぁ」 
愛ちゃんが呆れたように私に言う。私も自分で呆れちゃう。 
とりあえず、私から愛ちゃんに馬乗りになって無理矢理「愛タン」を堪能させてもらってから、 
グシャグシャの髪を直すために、二人で裸のままシャワーに向かった。 
愛ちゃんったら、ちっちゃい子供みたいにはしゃいでる。 
危うく階段から落ちそうになってるし。 
こらこら、そっちは玄関だよ…どこ行くんだよ。 
…郵便受けから外覗いてる…何がしたいの……ねぇ、あなた。 

二人とも口の周りやら内もものあたりやらが、糊が乾いたみたいなのでガビガビ… 
私なんて髪がライオンのタテガミみたいで、改めて昨夜の激しさを自覚させられた。 
でも、そんなグチャグチャ具合が面白くって二人して笑い合う。 

洗いっこしてたら、危うく昨日の続きが始まっちゃいそうだった。 
今はそんな事してられない。一緒にお買い物行くんだもんね。 
愛ちゃんが、私が見つけたイチゴ模様のパンツ欲しいって言うし、 
今日の記念に何かお揃いの物欲しいし。あ、私もイチゴパンツにしようか… 
それより、愛ちゃんの首のキスマーク目立っちゃってるけどどうしよう… 
「あさ美ちゃんに貰ったもんだから、見せびらかしちゃる」 
なんて言ってるけど、私の方が恥かしいんですよ。ねえ愛ちゃん。 

愛ちゃんが言うには、恋をすると女の子は特にえっちになるらしい。 
だから、私も彼に恋してるんだそうだ。 
そう考えると、私って愛ちゃんに対しても恋しちゃってるかもね。 
この愛ちゃんのお尻をずーっと、はむはむって甘噛みしていたいし。 

「こら。あーしのおしりは肉まんじゃねぇざ」 
怒られた。だけど愛ちゃん笑ってる。 
今までも仲のいい大事な友人同士だったけど、もっともっと絆が深くなった気がした。 
「またしようね」って言ってチューしてくれたし。 
…でも、タコチュ−はムード無いからやめようよ。 

ただ、愛ちゃんは最後まで私の相手の男の子が誰か聞かなかった。 
私もどうしても、それを言えなかった。 
それだけが心の隅っこに引っ掛かって、チクチクしていた… 

エピソードY -花- (了) 
- Metamorphose 〜変態〜 (番外編01)