-エピソードH- 

愛ちゃんとA君。方や女の子で方や男の子。両方と肉体関係有り。 

愛ちゃんからは愛情が感じられるしえっちも最高。 
私の色々な部分を知ってるし、私も愛ちゃんの色々な部分を知っている。 

方やA君は一方的な私の憧れ。 
仲は良いとしても、クラスメイトの一人でしかない。 
お互いの事も知らない事が多すぎる。そんな状態で持った肉体関係。 

そんな彼とこのあいだ、初めての時よりドキドキしながら私の部屋で2回目のえっちをしちゃった。 
少しでも私の事を知って欲しくて部屋に呼んだ訳だし、どういう訳か性癖みたいの話しちゃったけど、 
それも結局「えっち」という範囲の中だけの事。 
考え方とかなんて、理解してって言ってもおそらく無理な話。そして私の気持ちも… 
その時彼も自分の事話してくれたけど、それも「えっち」の範疇でしかなかった。 

あれ以来、彼とはクラスで普通に会話はしてても、好きだとか嫌いだとかは全く出ないし、 
彼から私を求めてくる事も無かった。 
どうにも照れちゃうせいか気まずいせいか、下ネタの話題も全く出てこないし… 
それもあって、刹那的っていうのかな?また”一時だけの恋人”になれるキッカケもなかなか掴めなかった。 

あの日帰り際に、今度はあっちから誘ってくてるって言ってくれたし、 
私もそれとなく告白したつもりだったんだけど… 
結局は単なるえっちへの興味。性欲の解消。据え膳食わぬは。ってやつ。 
彼にとって私はその程度の相手でしか無いように思えてならなかった。 
……それでもいいから。って、自分の中で納得しての行動なんだけど、どうにも寂しかった。 

多分そういうのもあって、頻繁に愛ちゃんと寝てるんだと思う。やっぱり心から抱かれたいし。 
…ううん、愛ちゃんとのえっちが凄くイイから。というのは確実にあると思う。快感を覚えちゃったし。 
でもやっぱり片想いだと判っていても彼の事は好きだったし、肉体関係だけでもいいからもっと近くに居たかった。 

ドロドロしたそんな彼への想いとは裏腹に、両想いになれたら。なんて淡い願望も捨て切れない。 
そして考えてしまう。 
もし万が一、彼の愛情が私に向いたら…彼と両想いになれて、お互いの事を色々理解できたら…… 

…一体私はどっちが一番なんだろう。どっちを選ぶんだろう… 

愛ちゃんと彼。両方とも好き。両方に抱かれたい。 

お芋とかぼちゃ。両方とも好き。どっちか片方だけって言われても絶対に無理。どっちも食べたい。 
そう言う風にはやっぱり出来ないんだろうか。 

女の子と男の子。両方を求めたら、やっぱり二股になるんだろうか。これって我侭なんだろうか。 
それ以前に、彼から貰えない愛情を愛ちゃんに求めちゃって、いいように甘えてるズルい女なんじゃないか… 
愛ちゃんに私の全てを貰って欲しいって思うのに、 
同じように彼にも貰って欲しいっていうのは、余りにも矛盾してるんじゃないか…… 

二人とも一番っていうのはやっぱりダメなんだろうか…… 
二人とも傷つけて、裏切る事になってるんじゃないか…… 

一人になるとそんな事を考えては、いけないと思いながらも二人を思い浮かべて身体の疼きを解消させていた。 


……愛ちゃん…大好き…… 

……A君…大好き…… 



*********** 

色々と悩みも抱えながら、愛ちゃんと淫らな関係を続けていた一学期の終業式の日、 
全校朝礼の後の大掃除の終りかけに、彼にこっそりと呼ばれた。 

私と彼の関係はまだクラスの誰も知らない。というか二人だけの秘密。 
愛ちゃんには多少は話しちゃってるけど、相手がA君とバレる要素は話していない。 

焼却炉からの帰り道。その途中にあるテニスコートの脇。部室の影から彼が手招きしてた。 
片手には「書道室」って黒のマジックででかでかと書かれた水色のゴミ箱を持っている。 
おでこに汗掻いてるし、もしかしたら窓から私を見つけて走って来たのかもしれない。 

「あの……さ……今日両親いないんだけど、俺の家に来ない?」 
開口一番、周りを気にしながら彼がそう言った。 

…これってもしかして… 

若干俯き気味に、そしておずおずと私の顔を見ている彼。 

「え?行っていいの?……あ…」 
内心は嬉しくって飛びあがっちゃいたいくらいだったけど、今日の放課後は先約が入っていたのを思い出した。 
湧きあがった喜びが、しわしわとしぼんでいく。 

グループデート。いわゆる合コンってやつ。 
相手は同じクラスの寺田君とはたけさん。中学浪人してるから年上。だから「さん」付け。とあと2人。 
…あれ?…あとの2人って誰だっけ? 
で、こっちはいつもの4人。 

キッカケは、麻琴がはたけさんに誘われたのが始まり。 

「男の人にデートに誘われちゃったよ−。どうすべどうすべ…」 
先週のいつだったかの放課後に、凄く動揺しながら私に寄ってきた顔を今でもハッキリと覚えてる。 
3人でワーキャー言いながらからかってやったまでは良いんだけど、 
相手とか詳しく話しを聞くうちに、「恥かしいし不安だから皆でなら」ってことでOKしちゃったらしい。 
聞いた途端に3人とも絶句… 

はたけさんのグループって、クラスメートとは言え殆ど話しした事がない人ばっかりだし、 
おまけに不良っぽいし、遊んでるっていう噂のグループだったからなんか怖かったし。 
それ以前の問題で、そもそもそういうの苦手だから一旦は断った。 
麻琴も本人に断ったらしいけど、相手の押しが強くって有耶無耶の内にOKになっちゃったみたい。 
いざとなったらドタキャンも考えたけど、同じクラスと言う事で後々気まずくなるのも面倒だし、行くしかなかった。 

「……ごめん。今日はムリ。」 
せっかく誘ってくれたけど、先週からOKになっちゃってたしキャンセルは出来ない。 
申し訳ない思いで、手を合わせて彼に断りを入れた。 

「……そうか……急だもんな……仕方ないよな……」 
半ば呆然としながら切れ切れに彼が言う。 
…そんなに落ち込まないでよ。私の方もガッカリしてるんだから。 

せっかく恋人みたいなあの時間が持てたのに… 
なんて、多分彼以上に落ち込んでた私の頭に良い事が思いついた。 

「あ、そしたらA君もいっしょにくる?なんならあたしから寺田君たちに言ってあげようか。」 
他人はいるけど、大っぴらにデート出来るかも。そんな淡い期待を持って彼に言ってみた。 

「……いいよ……別に。」 
一瞬ハッとしたように顔を上げたけど、 
すぐさま両手を胸のトコまで上げて、手のひらを振って遠慮するジェスチャー。 
…ゴミ箱が肘にゴツンゴツン当たって痛そう…… 

「わかったよ。じゃまた今度誘うってことでいいかな。」 
無理矢理作ったような笑顔で、彼は続けてそう言った。 

「うん。待ってるね。」 
あっさり引き下がっちゃった彼に残念に思いながら、私もそう返して小さく手を振って教室に戻った。 

もっと強引に誘ってくれたら、合コンも無理矢理キャンセルしたとこなのに… 
そんなの「行くな」って言って欲しかったのに…… 

やっぱり彼は、性欲処理の相手としか私を見てくれてないみたいだな…… 
右手に持った空になった筈のゴミ箱が、やたらと重く感じた。 

午前中に学校も終わった。4時に待ち合わせだからかなり中途半端。 
麻琴とお豆と3時半に愛ちゃんちに集合ってなったけど、せっかくだから早々に出かける事にした。 
とりあえず、今日は愛ちゃんのとこに泊まる事をお母さんに言って、シャワーを浴びて早速身支度。 

合コンってどんな服を着ればいいんだろ… 

特に好きな人とデートする訳じゃなし、妙に悩む。これだったら制服のままのほうが楽だったな… 
悩みに悩んで、黒に白い水玉のワンピに七分袖のニットのカーディガンを羽織って、鏡でチェック。 
彼とデートだったら花柄のワンピとか、もっと可愛い服を選んじゃうんだろうな。なんてちょっと思った。 

お泊まりセットは置きっぱだから、荷物は愛用のトートバッグと、持って行ってと言われたお裾分けのじゃがいも… 
お年頃の女の子に、昼間っからこんな荷物を渡すお母さんがちょっと恨めしい。 
でも愛ちゃんのお母さんに、「スーパー帰りの若奥様みたいね」って言われてなんか嬉しくってくすぐったくって、 
ついさっきまで恨めしかったお母さんに感謝した。 

で、今はせっかくの「お裾分け」が、すぐさま蒸かされたじゃがバターに変身して私のお腹に戻って来てるとこ。 
「いつもありがとうね。あさ美ちゃん」 
「いえ。こちらこそ頻繁にお邪魔しちゃって晩御飯頂いちゃったりしてスミマセン」 

よそ様のお宅でやたらと食べちゃうのはどうにも気が引ける。おまけに食べるペースが物凄く遅い。 
でもせっかく出して貰えるのを残しちゃうのは、私のポリシーが許さない。 
そんな私でも、ニコニコしながら沢山出してくれる愛ちゃんのお母さんに感謝感謝。 
時々、どう思われてるのか不安にはなるけど…ね。 

「大量に食べるのにスタイル良いのはゆるせん」 
「そうよねぇ。おまけにあさ美ちゃん、最近色っぽくなってるし。愛も見習わないと」 
「はーひは無理!」 
じゃがいもを頬張りながら、愛ちゃんが即答。 

「…いや…そ……愛ちゃんの方が色っぽいですよぉ〜…」 
今見てる横顔は色気とは遠いけど、あっちの雰囲気になった時の色っぽい表情が頭をかすめてフォローしてみた。 
私の言葉に、愛ちゃんをじっと眺めて見てる愛ちゃんのお母さん。 

「ん〜…ちょっと前から少しは色っぽくなってるかな?」 
「…そ、そうかな?」 
照れながらも片方の眉を上げ、親指と小指で作ったピースサインを顎に当ててポーズを取る愛ちゃん。 
…ちょっと間違ってるし、その顔は色気から遠ざかった気がするけど流しておこう。 

「彼氏でも出来た?ねぇ、あさ美ちゃん知ってる?な〜んにも教えてくれないの。この人」 
「なっ!なにおぉー…そんなもんいねーって!」 
「い、居ないみたいですけど」 
「そっかぁー…時々満ち足りた顔してるんだけどな。残念」 
「な、なにおーーー!」 
お母さんのツッコミに、愛ちゃんが激しく動揺してる。 

…彼氏…愛ちゃんに? 

私の心もザワザワし始める。 
愛ちゃんと今みたいな関係なってから、不思議なくらいに考えた事が無かった。 
愛ちゃんに彼氏がいないのは確実だけど、やっぱり好きな人くらい居る筈… 
今の私って、愛ちゃんがその人にアプローチとかするのを邪魔しちゃってるんじゃないか… 
そしてその人と上手く行ったら、私は一体…… 

ついさっきまで美味しかった筈の、じゃがバターの味が急に消え失せた。そして愛ちゃんとお母さんの発する音声も。 

”愛ちゃんに彼氏” 

その言葉が頭の中をグルグル回る。 

「あさ美ちゃん。部屋行くで、部屋。」 
赤い顔をして愛ちゃんが何か言いながら、私の腕を引っ張ってる… 
この温もりが消えちゃったら………… 

「あら、部屋行っちゃうの?」 
口をパクパク開けてる愛ちゃんのお母さんも、何を言っているのか解らない… 

「とんでもねぇ事言い出しおって…もぅ」 
何?何を言ってるの?……愛ちゃん…背中見せないでよ……ねぇ…… 

無音で霞みが掛かったような世界の中に、愛ちゃんの姿が徐々に溶けて行く… 

腕を握られた感触とその温度を残して、目の前の何もかもが真っ白になった。 

腕にある温度を頼りに、ただ必死に手を伸ばす。 
愛ちゃん。どこに居るの?ねぇ、見えないよ…ねぇ、愛ちゃん冗談よしてよ…… 

「好き」 
すぐ傍で愛ちゃんの声。 
…………… 
誰と喋ってるの?私ココに居るのに…ねぇ…… 

陽炎みたいに薄っすらと愛ちゃんの横顔が目の前に現れた。手を伸ばすけどそれは空を切るばかり。 
…そんな幸せそうな顔、誰に見せてるの? 
目を瞑って顔を少し上げて………やだ、やだ、やだっ! 

瞑っていた目を開けた愛ちゃんが恥かしそうに俯いた。 
その顔は私だけの物だったんじゃないの?……ねぇ、愛ちゃん、ねぇってば! 

再び顔を上げて愛ちゃんの口から出た言葉が信じられなかった。 

………………A君、「好き」……………… 

……何?何これ……… 

私が居る事なんて目に入らないように、楽しそうにおしゃべりしながら遠のいて行く二人。 
待ってよ、置いてかないでよ、一人にしないでよ…… 
必死に二人を追おうとしても、見えない手に左手を掴まれて動けない。 

待ってよA君!待ってよ愛ちゃん!……「愛ちゃんっ!」 

「あさ美ちゃん?あさ美ちゃん?」 
突然目の中に、はっきりした愛ちゃんのドアップの顔が飛び込んできた。 
心配そうに私の顔を覗き込みながら、テーブルの上にある私の左手を握ってくれている。 

あぁ、愛ちゃん…居た…良かった…怖かった。 

安心した途端に溢れてくる涙。 
力一杯抱きついて、愛ちゃんの温もりと匂いを実感してその量が倍増する。 

「どおしたぁ〜?んん?」 
突然泣きながら抱き着いた私に、愛ちゃんは若干驚いてるみたい。 
でも、怖い夢でも見たか?うなされてたで。なんて優しい声。頭を撫でてくれる温かい手。 
いつも嗅いでる、愛ちゃんの部屋のラベンダーのアロマの匂い。 
そしてほんのり甘めなコロンに、薄く愛ちゃんの体臭のブレンドされた私の大好きな匂い。 

絶対にこの温もりと匂いは離したく無い…それが夢の中であっても…… 

あの夢は、二人ともを追おうとしている私への神様からの罰。そして警告。 
そんな事は解ってる。でもどうやったって二人とも好きなんだもん。離したく無いんだもん… 
諦めたくないんだもん…… 

「…愛ちゃん……どっか行っちゃわないよね?」 
「なんや、突然。今おるやないの」 
「…そうだけどぉ」 
でも、あの夢みたいに愛ちゃんに彼氏が出来たら、私の前から消えちゃいそうで… 
そしたら、この温もりはその人に渡すべき物で…… 
その人はもしかしたら、A君って可能性もある訳で……… 

――――好きな人居る?―――― 
聞いてみたい。でも聞いちゃったらこの関係が切れちゃいそうで… 
この温もり、匂い、安心感が全部消えちゃいそうで……… 
友情っていう部分は残るかもしれない。でも、もっともっと深いものは……… 

「なぁ…不安な事があるなら言ぅてよ。あーしがいくらでも相談乗るし、あさ美ちゃんこと守るよって」 
「…」 
「あさ美ちゃんはいつでも笑っててよ。そうやないと、あーしも笑えんし」 
「…………」 

そんなに優しくしないでよ。私、愛ちゃんを裏切っちゃってるんだよ。 
いつも一杯「好き」って言ってくれて一杯愛情くれるのに… 
愛ちゃんを誰にも渡さないとか思いながら、A君にも抱かれたがってるんだよ。 
愛ちゃんからだけじゃなく、A君からも愛情が欲しいって思ってるんだよ。 
欲深くって我侭で…愛情を貰う資格なんてないんだよ… 
その上、愛ちゃんが自由に恋愛する邪魔になってるんだよ、私。 

最低だよ、私… 

こんななら、いっそのことさっきの夢みたいになったほうが…… 
自分なんて透明人間になっちゃった方が愛ちゃんとA君の為にも……… 

「ほぉれぇ、あんまし泣くと目が腫れるよって。垣さんと麻琴もそろそろ来るけぇの」 

私がまとった重い空気を吹き飛ばすように、明るく愛ちゃんが言う。 
そっと身体を離して俯いたままの私の唇に軽いキスを落としてくれた。そしてくしゃっとした笑顔。 
泣き虫やなぁ。なんて言いながら親指で涙を拭ってくれてる顔を見てたら私も笑えた。 

…あ〜もぅ。だめだ。傷つけちゃうのは解ってても離れられないや。 
結末は最悪になるかもしれないけれど、目の前にある幸せは離さないようにしよう。 
いつも前を向いて頑張ってる愛ちゃんに影響されたのか、最近はかなり私もポジティブになってるのかもね。 
…………今回のコレは、無責任とも言えなくも無いけど。 

そう思えたらムラムラして来ちゃった。……目の前のTシャツの首から覗く、白い谷間に。 

「こらっ!泣いとったと思ぅたら、いきなりこれかいっ」 
愛ちゃんを絨毯に押し倒し、Tシャツを捲り上げたら当然の如く怒られた。 
胸に顔を埋めてる私を引っぺがして、すぐさまシャツを下ろされる。 

「一口ぷり〜ず」 
顔を真っ赤にしてじゃがバターが乗ってたお皿を片してる愛ちゃんに、可愛くおねだり。 
「…あーしは食いもんじゃねぇざ」 
「デザート」 
「……で、でざーと…ね。よく食べること…」 

じゃあ、ちょっとだけ。なんて言いながらTシャツを捲ろうとする愛ちゃんを他所に、 
膝立ちして目の前にあった、紫色のジャージのズボンをパンツごと下ろしちゃうえっちな私。 
そしてお尻を抱えて押さえ込みっ。 

「ちょっ…胸じゃ……一応シャワーは浴びたけど……それにこんな明るいトコでなんて…」 
「だって、愛ちゃんの味が濃い方がいいし」 
そう答えて、うつ伏せでジタバタしてる愛ちゃんの股間を引き寄せて顔を埋めた。 

ホクホクはしてないけれど、香りもジワジワ出て来る液も、 
ちょびっとトロってしてて温かくって、さっき食べたじゃがバターのおかわりみたくなちゃった。 
お尻だけを上げて、漏れる声を両手で抑えてる愛ちゃんの女の子の匂いと味に舌鼓。 
やっぱりこれは離せないや。誰にも渡さないっ。 

「ね、ねぇ、ホンっ…トに里沙ちゃん達来ちゃ…むふぅ……うから…」 
愛ちゃんは、いつまでも舐め続ける私に身体を震わせながら終了を呼びかけるけど、どうにも止まらない。 
私のほうも興奮しちゃって濡れちゃってる感じ… 

もっと愛ちゃんに感じて欲しくって、自分も感じたくって、集中的にお尻の窄みを舐めつづけてた時 
ドカドカと階段を駆け上ってくる足音がして、その勢いのままドアを景気よく開けられた。 

「おぃ〜っす!」「なぁ〜に寝てんの。二人して。…って、愛ちゃんまだ用意してないじゃん。」 

あ、危なかった。まさに危機一発。 
下ろしていたズボンを慌てて上げて、愛ちゃんの背中に全身で圧し掛かった瞬間に麻琴とお豆が飛び込んで来た。 

でも正確にはまだ危機は去ってない。 
慌てたもんだから、掴み損ねたパンツに邪魔されて、ズボンでお尻を殆ど包めなかった。 
…私のスカートに隠れて見えないだろうけれど、私が退けたら愛ちゃんのお尻が「こんにちわ」しちゃう。 
前なんて当然丸見え… 

「ご、ごちそうさまー…」 
お豆のツッコミにとりあえず何か言おうとしたら、微妙な単語が口から零れた。 
「あさ美ちゃん、そこは『おはよう』だから」 
「あ〜わたしも寝る〜」 
冷静に突っ込むお豆を他所に、嬉々として部屋に入ってきた麻琴が私の上に圧し掛かる。 
マ、マコ…重い…そんなグリグリやんないで……愛ちゃんの上から落ちちゃう…だめぇ…… 

「もー。ほら、3人とも遊んでないでっ!」 
お豆の冷淡な声が飛ぶ。……遊んでるつもりはないんです。はい。 
しぶしぶながらもマコは下りたけど、私は下りる訳にはいかない。 

「ほら、あさ美ちゃんも寝ぼけてないで。愛ちゃん潰れてるから」 
……そう言われても、動けないんです。愛ちゃんも全く動かない。寝たふりなのか、完全に無言… 

微妙に笑ってるお豆を見上げながら必死で言い訳を考える私の頭。 
……… 
…………何も浮かばない。…というか、さっき見ていたお尻の映像しか浮かんでこない。 

「里沙ちゃ〜ん。麻琴ちゃ〜ん。じゃがバターあるわよ〜」 
もう『何で愛ちゃんお尻出してるの?やだぁ』って驚きながらトボケるしかないか。 
そう覚悟を決めた時、タイミング良く神の声がした。 

「15分で支度してね」っていう言葉を残して二人は部屋を出て行った。 

「ねぇ、まこち。見た?見た?あさ美ちゃん愛ちゃんに乗っかって寝てたよ。あんなに寝相悪かったんだ」 
「いや〜、あそこまで酷いのは久々だね。ベットから身体半分落ちてるのは見た事あったけど」 
「私に向って『ごちそうさま』だよー。何か食べてる夢見てたんだろうねぇー」 
「愛ちゃんのお尻、豚まんと思って齧ってたかもよ〜。多分歯型ついてるね」 
「わはははは。あるかもー」 

トントンと階段を下りる音と一緒に聞える会話が遠のいて行く。 
酷い言われようだ…助かったからいいけれど。 

ホッとして身体を起したら目の前には真っ白い豚まん。…じゃなくって、愛ちゃんの綺麗なお尻。 
これを見られたら一体どうなっていたことやら。考えたくもない。 

「あれ?愛ちゃん、もういいよ」 
「……」 
「愛ちゃん?」 
無言のままで反応がない。その代り、時折キュッって力が入るお尻。 
「…か、齧ってええよ」 

はい? 

「…お、おか…わり」 
「で、出かける用意は?」 
「やって…さっきイケそうやったんやもん…」 
愛ちゃんはベソをかくようにそんな事を言った。 

そう言われては止める訳にもいかない。というか、喜んで続きをさせて頂きます。 
とりあえずお尻に齧りついて感触を楽しんだ後、 
両手でお尻のほっぺを鷲掴みして無理矢理開いて、その中心に舌を伸ばした。 

また、あの危機的状況が戻ってくるかもしれないスリルもあってか、燃えちゃって燃えちゃって仕方がない。 
絨毯に腰が落ちたままで届きにくいあそこに舌を伸ばそうと、 
パンツと両太腿、そしてお尻の間に出来た窪みに顔を捻じ込んでいく。 

くぐもった声とともに、お尻も突き出されるように浮いてくる。 
…あぁ、ホントにこのお尻食べちゃいたいっ…… 

お尻を揉み込みながらも谷間を大きく割り開き、舌を這わせ、辺り構わずキスマークを刻んで行く。 
ゆで卵みたいな綺麗なお尻に刻まれて行く、ピンク色の私の印。 
なかなか印が点かない谷間の奥にも、強引に執拗に吸い付き続ける。 
もっと点けて。と言わんばかりに、ますます高く上がり、そして突き出されてくるお尻… 

もう、この包装紙みたいなパンツ邪魔っ! 
愛ちゃんを裏返し、ジャージとパンツを完全に脚から抜き取って、オムツを替えるみたいな体勢に固定した。 
顔を真っ赤にしながらも、せがむみたいに太腿を自分で抱える愛ちゃん。 
そしてキスを求めるように、目を瞑って顎を上げる。 

好き…大好き…もっともっと一緒にえっちになろうね…… 

一度本物の唇に強く吸いついてから、大きく開いて美味しそうにテカっている股間の唇に強く吸い付いた。 

舌のように唇を撫でる両襞が嬉しい。唾液みたいに口の中に入ってくるえっちな液が美味しい… 

「はっ!んっ!…あ、あーしにも、あさ美ちゃんの…」 
私のあそこへの深いキスに、ちっちゃく甘く喘ぎながらもおねだりして来る愛ちゃん。 
一度拒否して、ぷぅって膨れた表情を楽しんでみる。 

「私のどこが欲しいの?」 
このあいだのお返し。愛ちゃんがもっと真っ赤になってプイって横を向いた。 

愛ちゃんの股間を撫でながら、ワンピースのスカートをたくし上げて愛ちゃんの顔の脇にしゃがみ込む。 

「ねぇ、愛ちゃん。私のどこ欲しい?」 
一瞬ハッとしたような表情を見せ、すぐにトロンとした表情で口を開け、 
私の股間に首を伸ばしてくる愛ちゃんに再度質問。 
愛ちゃんは潤んだ目で恥かしそうに私を見上げ、小さい声で呟いた。 

「あ、あさ美ちゃんの……お、お○…んこ…下さい……」 
そのえっちな台詞に、反応する愛ちゃんのあそこ。 
中指が添えられてる部分がキュッと締まり、中からえっちな液が湧き出てきた。 

鼻をひくひくさせて、私の返答を待っている今にも泣き出しそうな愛ちゃん。 
私も言わされた時、死んじゃいそうなくらい恥かしかった。そして身体が震えたっけ… 

それを今、私が愛ちゃんに与えちゃってる……与えてるのに私も身体が震えちゃう。 

……もっと…… 

「よく出来ました。じゃ、脱がしてくれたら好きなだけあ・げ・る。」 
ほっぺにキスを落し、愛ちゃんから手を離して立ちあがった。 

私の前で、もそもそとながらもきっちりと正座をして私のパンツに手をかける愛ちゃん。 
嬉しそうで恥かしそうで、それでいて悔しそうな表情が溜まらない。 
苛められるのも気持ちいいけど、苛めちゃうのも気持ちいいかも…… 
私のパンツを下ろしながら、表情を緩ませる愛ちゃんの顔を見ながらそう思った。 

「ぁひゃっ。あさ美ちゃん。パンツびちょびちょ〜」 
愛ちゃんは嬉しそうにそう報告しつつ、私の脚から抜き取ったパンツを大事そうに持って、裏返して眺めてる。 
濡れてたとは思ってたけど、クロッチ部分は完全にびちょびちょ… 
こうなっちゃうのは恥かしいけど、愛ちゃんとのえっちの相性が良い証拠みたいで凄く嬉しかった。 

それを眺めていた愛ちゃんが、粘り気のありそうな中心部分を舌で拭って嬉しそうに私を見上げた。 

うわぁ…何、この凄い光景……こんな愛ちゃん初めて……眩暈がしちゃう。 

「あ、あの…このパンツ…あーしに下さい」 
敬語で話し始めた愛ちゃんに、若干の違和感も感じながらも興奮は益々増大して行く。 
そして見た事が無かった愛ちゃんの行動に、驚きながらも視界が霞んでいく。 

愛ちゃんも苛められるの好きなのかも……苛めてみたい…… 
「なんで欲しいの?」 
頭を撫でてあげながら、小さい子に尋ねるように愛ちゃんに聞く。 

「あ、あさ美ちゃんの…その…染みが点いとるんで…」 
従順に、そして甘えるような表情でそんな恥かしい事を言いながら、 
濡れたパンツの真ん中に、縦に残る染みを指でなぞりつつ私を見上げて来る。 

「染みが好きなの?汚いの好きなの?」 
「あ、あさ美ちゃんの印…好き……です」 
「じゃぁ、私の汚いパンツ大事にしてね」 
ねぶるような私の言葉に、愛ちゃんは握ったパンツを抱え込むようにして、恥かしそうに頷いて俯いちゃった。 

「私も愛ちゃんの印が点いたパンツ欲しいな」 
無意識に私の口から零れたその言葉に、愛ちゃんが満面の笑みで私を見上げ、 
すぐさま絨毯の上に転がっていた自分のパンツを差し出した。 

濡れていない分、薄っすらとではあるけれどハッキリと判る黄色い縦染み。 
愛ちゃんの顔を見ながら、そこに舌を伸ばす。いつもの匂いと共にアンモニア臭が鼻を突く。 

…愛ちゃんの印…… 

強い眩暈と共にあそこからえっちな液が零れたのがハッキリと判った。 

「ありがと。大事にするね」 
恥かしそうに、でも嬉しそうに私を見上げたままの愛ちゃんに、笑顔でお礼を言った。 

自分で言ってたりやってたりするのによく解らない。不思議な会話。そして不思議な光景。 
ただ、ゾワゾワしっぱなしの背中と熱い身体、内股を伝う液、ボーってする頭が、 
えっちで気持ちイイ事をしていると、はっきりと教えてくれていた。 

「あ、あーしのお○…んこ舐めて下さい。…あ、あ、あと…あさ美ちゃんの…あそ…お○んこも舐めさせて下さい」 
私のパンツを抱えながら、小さい声で恥かしそうに淫らなおねだりをする愛ちゃん。 

「じゃ、さっきみたいに自分で脚上げて。愛ちゃんにも私のお○んこあげるから」 
こんな台詞に加え、こんな行動をしちゃう部分が自分の中のどこに有ったのか判らない。 
恥かしさなんて、メーターが振り切れちゃったのか殆ど無い。 
ただ気持ちイイだけ。ただ嬉しいだけ。 

愛ちゃんの顔の上に体重をかけないように座り、上を向いて大きく開かれているあそこに顔を埋めた。 

「あ、あさ美ちゃん。時間無いよってポッチで…一緒にイって下さい」 
「う、うん」 
私がそう答えるや否や、すぐにあそこに熱くヌメッた大好きな感触。全身が震えちゃう。 
どう攻めればどのくらいでイける。とかお互いに知ってるから、すぐに大きい波が押し寄せてくる。 
私も負けじとポッチを舌で捏ねまわす。 

快感の波にガクガクと震える全身を無理矢理制御しながら、愛ちゃんにも快感の波を送り返してあげる。 
叫んじゃいそうな声を必死に抑えるから息がメチャメチャ苦しい。……でも… 

気持ちイイっ…気持ちイイっっ…… 

頭も全身も振り乱したいのも抑えて、好物に必死にかぶり付く。 
霞む視界に、ギュッと握って小刻みに震える愛ちゃんのつま先が見える……あっ!それっ!!…もうイっちゃうっ… 

「は、んくぅぅ……はいひゃん。ひくひょっ!」 
「んっ!くっ…んんっ!」 

薄く開いた歯の隙間にポッチを強く吸い込んだと同時に、私のポッチも舌でギュッと押し込まれた。 

…はあっ、はあっ……んくっ、はあぁっ、はあぁっ…… 

私と愛ちゃんの、ゴール直後の荒い吐息が交じり合う。…気持ちよかったぁ……幸せぇ… 
互いの吐息を聞きながら余韻を味わうかのように、暫くその周囲に舌を這わせたり甘噛みした後、 
ごちそうさまのキスを落して体勢を戻す。 
そして愛ちゃんのTシャツを脱がして、いつもみたいに胸の間に顔を埋めた。 

「服汚れるよって、もっと上」 
そんな気遣いに、ずりずりと身体の上をせり上がって首筋に鼻をくっつけた。 
すっかり通常モードに戻っちゃった愛ちゃんと私。 
甘える私にやさしく手を差し伸べるように抱き締めてくれる。 

「ねぇ、ここに二人が戻ってきたら大変だよね」 
「あさ美ちゃんはスカート下ろせばええけど、あーしはまずいやな。丸見えやし」 
私の頭を撫でながら、のん気に笑ってる。 

「パンツ履いて立っとれば、着替えの途中って事でごまかせるやろ」 
「じゃ、履く?」 
「やだ。まだパンツ履きとぉねぇし」 
身体を離そうとした私を抱きかかえ、そう言いながら股間を擦り付ける様に脚を絡めてくる。 
こんな事をしてる場合じゃないのは解ってる。けど止められない。好きだから…幸せだから… 

私の方も、愛ちゃんの太腿にあそこを擦りつける。 
「んふふふ。ぬるぬる〜」 
「あさ美ちゃんもぬるぬるー。んひゃひゃひゃひゃ。」 
擦りつける度に湿った音が出ちゃってる。 

「ま、まだ時間あるかな?」 
もっと欲しい。永遠に欲しい。目を瞑って首筋の匂いを嗅ぎながら思わず言っちゃった。 
「おかわり?」 
ニヤッとした愛ちゃんがなんだか憎らしくって、無理矢理唇に吸い付いた。 

片方のブラのカップをずらし、ピョンと飛び出た乳首を指で捏ねながら下唇をハミハミ。 
私のそんな行為に愛ちゃんは目を細め、すぐさま色っぽい表情に変化した。 
甘えるみたいに私の上唇に吐きかけられる吐息が凄く可愛い。 

「合コン行くのやだね」 
「そやね。調子悪いって言うてキャンセルするか」 
「そしたら、もっと激しいのしちゃえるしね」 
「あひゃっ。あさ美ちゃんも好きやのぉ」 
そう言いながら、自分のえっちな液を絡ませた指で、私のお尻の窄みを撫でてくる愛ちゃん。 
震えと共に鳥肌が立つ。すっかり条件反射でポッチがジンジンしちゃう。 
「だって愛ちゃん美味しいんだもん」 
お返しに、突付いてた胸に精一杯の大口を開けてかぶりついた。 

「ひゃっ!…や、やから、あーしの胸も豚まんや…んっっ!…ないって」 
ふかふかの胸を甘噛みしながら舌で乳首を転がしだした私に、笑いながらも身体を捩る愛ちゃん。 
更に刺激をねだる様に、私の腰を抱えて太腿に強くあそこを擦り付けてくる。 
温かくって柔らかくって時々ヌルヌルしたりして、良い匂いのする愛ちゃん。ホント食べちゃいたいくらい! 

「…はあぁぁっ!ね…ねぇ、もっとちゅー…して…」 
こうして甘えてくれるのも、必要とされてるって感じれて凄く嬉しい。 
リクエスト以上をあげたくって、気持ちを込めて唇に再び吸い付いた。 
口からはみ出る涎も気にせずに、深く激しく舌を絡ませ合い、唾液と吐息の交換をする… 

一生離れたくない。離れられない。愛ちゃんの吐息も唾液も汗もえっちな液も、全部私の物なんだ。 
誰にもあげない。誰にも邪魔されたくな―― 

「お〜い。愛ちゃ〜ん。ま〜だ〜?30分過ぎたよ〜」 
階段の下から、無情にも時間切れを告げるマコの声がした。 
愛ちゃんの下唇を咥えたまま硬直。顔を見合わせて青くなった。 

「「やばっ!!」」 

絡まったままの身体を慌てて離し、私の方はヌルヌルの太腿はそのままにスカートを直す。 
愛ちゃんも立ち上がり、傍らにあったパンツを履いて、更にクローゼットを開けて服を部屋に撒き散らした。 

わ、私のパンツ…パンツ…どこだっけ?…… 
ついさっき脱いだ筈なのに、散らかっていく愛ちゃんの服に紛れて見当たらない。 
服をかき分けてみてもどうしても見つからない。その代り、妙に目に付く恥かしい毛… 
……見なかった事にしよう。 
ベチョベチョの口元をティッシュで拭きつつ、とにかく必死にパンツを探す。 
あんなびちゃびちゃに汚れた物を見られたんじゃ、恥かし過ぎる上に弁解のしようがない。 

返事をしなかったせいか、ゆっくりながら階段を上がって迫ってくる恐怖の足音… 
「あさ美ちゃんはぁ〜、また寝てるほうにアイス一本!」 
「えーーー?まこちー、賭けになんないじゃんそれー」 
「じゃあ〜、愛ちゃんは?」 
「愛ちゃんの事だから、すっかり私達のこと忘れてゲームやってるね」 
のん気な会話をしつつ近づいてくる二人とは正反対に、室内は完全にパニック。 

あ〜もぅっ!どこなのぉ、私のパンツ〜…… 
転びそうになりながら、適当に捕まえたデニムに足を突っ込んでる愛ちゃんが目に入る。 
妙な違和感… 
ブラから零れたままの右胸は判るとしても、他に何かが…… 

「愛ちゃん。胸!胸!あと、口っ!」 
指をさしながら小声でそれを伝えた瞬間に、階段を上る音が変わった。 
もうすぐそこじゃん!… 

慌てて駆け寄り、手に持ったままのティッシュで愛ちゃんの口元を必死に拭う。 
私に口を拭かれながら、やっと腰までデニムを上げた愛ちゃん。 
最低限バレない形は出来た。と思った矢先、違和感の元を見つけた。 

今、愛ちゃんが履いてたパンツって…… 

ドアがノックされ、返答も待たずにそれが開く。 
「愛ちゃん用意出来たー?あ、あさ美ちゃん起きてるじゃん」 
愛ちゃんの隣に立って服を物色してたフリをしながら、極力自然にお豆の声に振り向いた。 

「ふえっ?あ、お、起きてたよ」 
「…え〜?寝てたでしょぉ〜〜。バレバレだぁって」 
麻琴がニヤニヤしながら、私の顔を指をさす。 

「ね、ね、ね、寝てなんて…な、そ、そ、そんなっ!」 
頭の中は『私のパンツを愛ちゃんが』っていうのでパニックになっているのに 
『寝ていた』のがバレバレとか言われちゃって、もうどうして良いのか判らない。 
どもりながらブンブン手を振って反論する私を見て笑ってる二人… 

「なぁ〜に焦ってんの?今更〜」 
言われてみればえっちな匂いもしたままだし、若しかしたら声も聞こえちゃってたのかもしれない… 
背中を嫌な汗が流れていく。横を向いたら愛ちゃんも固まってる。 

――この二人の笑いは、女の子同士のえっちな関係を肯定してくれてるんだろうか?―― 

混乱する頭でそんな都合の良い事も思いながら、何時からバレてたんだろうと記憶を辿る。 

…放課後に必ずしてる「ちゅー」を見られてたのかも。 
…ちょっと前に、昼休みの学校のトイレでシテたの聞かれちゃったのかも。 
…水泳の着替えの時、同じ所にキスマーク付けてたのを見られて……いや、若しかしたらあっちか…… 

バレそうな証拠や行為が、いくらでも思い浮かんじゃって言い訳も出来ない。 

「ほ〜ら、赤くなった。そのティッシュも涎拭いてたんでしょ?ほら、ここにまだ付いてるよ」 
自分の顎を指でトントンしながら、親切にも教えてくれるマコ。 

「…い、いつから知ってたの?」 
おずおずと二人に聞く私を、青くなってる愛ちゃんがハッとして振り向いた。 

「ん〜?だってあさ美ちゃんて、寝るか食べてるかじゃん。何言ってんの?」 
……はい。寝たし、食べてました。愛ちゃんを。 

「どうせ、白目剥いていびき掻いて涎垂らして寝てたんでしょ。はい、怒らないから用意用意」 
…はい。ポッチ剥いたり、涎垂れちゃうくらいのちゅーしてました。…って、あれ? 

愛ちゃんと顔を見合わせる。これって……え〜っとぉ〜…? 
固まってる私達とは反対に、ドカドカと部屋の中に入ってベットに腰掛けて雑談を始める二人。 
カレーにはナンがどうちゃらこうちゃら。たこ焼きにチョコがなんちゃらかんちゃら。 

「バ、バレてないみたいやね」 
引き攣った顔のまま、愛ちゃんが小声で話し掛けてきた。 
二人の反応を見る限りではそんな感じ。…なんか麻琴に暴言吐かれた気もするけれど。 

ホッとしたのも束の間、愛ちゃんが私のパンツを履いている事を思い出す。 
「あ、愛ちゃん。パ、パンツ…私の…」 
「へ?」 
ホッとして気が抜けてたのか、ヒソヒソ声で言った私に大きな声で反応した愛ちゃん。 

「あ〜どうかしたぁ?」 
「何でもいいから、愛ちゃん早く上着なよ」 
「あーわりぃわりぃ」 
あんなのを履いて気がついていないのか、焦る私と対照的に、のん気に上着に首を通しちゃってるし。 
……愛ちゃんと二人にならなきゃ言えないよ、もぅ…気がついたら大声出しそうだし。 

とりあえずパンツは諦めて、テーブルの前にちょこんと座る。 
…あ。 
視界が変われば見えなかった物が見えて来るもので… 
丸まった白いパンツが、まさに膝の前に…愛ちゃんのだけど…… 

こっそりそれを掴み取り、手の中に握り込んで漸くホッとした。 
これで危ないものは全てクリアー…と思いきや、私がノーパンだった。…もうげんなり。 

どうすればパンツを履けるか一生懸命考えるけど、答えはサッパリ出てこない。 
替えのパンツはあの『お泊りバック』にあるけれど、この場で出したらおかしいし… 
それに加えて、私のびちゃびちゃパンツを履いた愛ちゃんの反応が怖いし恥ずかしいし… 
どうにも困って俯いて、ただただベット上の二人と、着替えを済ませた愛ちゃんの背中を交互に眺めていた。 

「んんー??」 
鏡に向かって頭を手櫛で整えていた愛ちゃんが、妙な声を出しながらこちらを振り向いた。がに股になって股間を覗きこむ。 
「どうかしたぁ?」 
「あ、用意できたら行くかー。面倒だけど」 
「あ…お、おお」 

がに股のままで二人に反応しつつ、私と目が合った。 
何も言えないままに苦笑いを返す私。 
途端にひん曲がってた顔が元に戻って、見る見る赤くなる愛ちゃん。 
がに股を閉じ、股間を抑えて俯いて、終には固まった。チラチラ私を見ながらモジモジしちゃってる… 
私も恥かしくって、俯いてチラチラと愛ちゃんを覗き見るしかなかった。 
おまけに、びちゃびちゃのを履かれてると思うだけで興奮しちゃって、あそこが疼いちゃう始末… 

どうしたって想像もつかないこの状況に、二人が気付く筈もない。 
「何?二人ともトイレ?遠慮なくいっといれ」 
「まこちーつまんないよ。それ」 
そんな会話をしながら、お豆は立ちあがって出ていく準備はもう万端。 
マコなんてば、私の腕を掴んでるから逃げようにも逃げられない。 

愛ちゃんのパンツも気になるけれど、自分もノーパンではいられない。 
殆ど引き摺られるように立ちあがりつつも、お泊りバックをさりげなく掴んで部屋を出た。 

玄関を出る前にトイレには行けたけど、マコの親切心がバックを持って入るのを許してはくれなかった。 

考えあぐねた末に、握ったままだった愛ちゃんのパンツを履いちゃってる私… 
片や愛ちゃんはトイレに行かなかったから、私のパンツを履いたまま。 
恥かしくって、でも妙にドキドキしちゃって、疼きっぱなしのあそこ… 
お豆やマコから振られる会話に、なんとなく相槌をうってはみるものの完全に上の空。 
「ま〜だ寝ぼけてんな。こら」 
何て事まで言われる始末。 

妙にハイテンションで、私と繋いだ手を大きく振りながら隣を歩く愛ちゃんに小声で聞く。 
「あ、愛ちゃん…わ、わたしのパンツ履いちゃってるよね」 
「あさ美ちゃんのパンツ、ヌルヌルで気持ちええよ」 
耳元でそう言われて顔から火が出た。 

洗ったものならまだしも、脱いだ物をそのまま他人に着けられちゃうのは死にたいくらい恥かしい。 
それも、あんなに汚れている物なんて… 
「ぬ、脱いでよぉ…」 
「もったいねぇし」 
「……」 
「それより、あさ美ちゃんはノーパン?」 
やたら嬉しそうに聞いてくる。 

「あ、愛ちゃんの履いてる」 
見る間に赤くなっていく愛ちゃんの顔。でも、妙に嬉しそう。 
おまけに繋いだ手を離し、密着するように腕を絡めてくる。 

「帰って来てから続きしよな。すっげぇの」 
耳元でこっそりそう囁かれて、せっかく拭いたあそこが、またジワッとするのを感じた。 

愛ちゃんのパンツに、私のえっちな染みを点けちゃったのがなんだか嬉しかった。 

ただ… 
すぐ前を歩く二人は、私と愛ちゃんの関係を実は知ってるんじゃないか?と不安でもあった。 
身体の関係まであるのを知っていて、ただ黙って見守っててくれているのなら良いけれど。 

何時かは私達の口から、ちゃんと言うべきなのかもしれない。 
その時、二人がどんな反応をするんだろう……今のこの仲良し関係は一体…… 
そうなったら、愛ちゃんが私から離れちゃうんじゃないか…… 

そんな不安も、唇に一瞬触れた柔らかく温かい感触と、愛ちゃんのクシャっとした笑顔が 
あっという間にかき消してくれた。 

「ねぇ、石川さんとした事、全部私に教えて。で、それよりすごいのしよ」 
もう過去の事だけど、多分これは石川さんに対する嫉妬。 
一瞬だけ曇った愛ちゃんの顔が、すぐさま嬉しそうな顔に戻る。 

「じゃ、じゃあ、あさ美ちゃんも男の子とした事全部あーしに教えてな」 
愛ちゃんのこれも多分嫉妬。 
道の曲がり角でお豆とマコの目を盗み、愛ちゃんの唇に強く吸い付いた。勿論舌も絡めちゃった。 
すれ違ったタクシーの運転手さんに見られたかもしれないけれど、かまいやしない。 

さっきよりも強く、互いの腕に胸を押しつけるみたいに腕を絡めて角を曲がった。 
前を行くお豆とマコは、未だにカレーとタコ焼きの話しをしていた。 

タコ焼きは塩なんだそうだ。 
塩でもソースでもいいけれど、4分の一の大きさのってないのかな?ってちょっと思った。 

私が思った事が解っちゃったのか、愛ちゃんが隣でちっちゃく笑った。 

エピソードH -露- (了) 
- Metamorphose 〜変態〜 (番外編04)