俺と紺野は相変わらず下ネタを交わし合う仲だった。 
だが、そんな俺の頭の中を紺野は多分知る由もないだろう。 
いや、知ってしまったらきっと引くに違いない。 
だから俺は、そんな自身の欲望を気取られないようにしていた。 

……だが、その日はあるとき突然やってきた。 

「…ね……えっちしようか……」 
いつものように下ネタトークをしていると、突如紺野が思いがけないことを言ってきた。 
「は?」 
「だから、えっちしようかって。」 
俺は紺野のその言葉が信じられなかった。 
「な、なんでまたそんなこと…」 
少し声が震えているのが自分でもわかる。 
俺の心臓が高鳴る。 
紺野はそんな俺の心中を知ってか知らずか 
「なんかねー、いろいろ頭の中で想像して考えちゃうより……実際に経験しちゃったほうが早いかなーって。」 
「だからといって……」 
「初めてがあたしとじゃイヤ?」 
「な…なんでまた俺と……」 
俺は正直飛び上がって喜びたいところだったが、つとめて冷静に振る舞おうとしていた。 

「だって、あたしも初めてだしあんたも初めてでしょ。お互い初めてのほうがいいかなー、って。 
それにいっしょにいると安心できるし、気も許せるから……あんただったらいいかな、って。 
それにあたしたちもういくつも人に言えない秘密持ってるからもう一つぐらい増えてもいいよね。」 
「………」 
「ね、いいよね。しよっ。」 
最近の女の子は何を考えているんだろう…よくもまあそんな簡単に……そんな分別臭いことを思った。 
だが俺にとってはそんなことよりも、紺野とできることのほうが大きかった。 
「あんたじゃなきゃあたしこんなこと言えないよ?」 
紺野のその一言に俺は陥落した。 
いや、実は最初からお誘いに乗る気まんまんだったのだが。 
「わ、わかったよ。俺で良ければ。」 
そうは言ったものの俺の頭の中はバラ色だ。 
「じゃ、決まりね。一度家に帰って今日の夕方待ち合わせしましょ。 
いくらなんでも制服のままじゃホテル入れないしね。場所は2丁目の角のコンビニにしましょ。 
あ、ホテル代は割り勘でいいよ。あとお風呂入ってきてね。不潔なのはイヤよ。じゃ。」 
そう言って紺野は教室を出て行った。 

俺は急いで帰宅するとシャワーを浴び、全身をくまなく洗う。 
特にあそこは念入りにだ。 
そのついでに、 
……もし…俺だけ早くイッたらまずいよな…… 
と思ったのであらかじめ一本抜いておいた。 
もう頭の中は紺野のことで一杯だ。 
目の前に紺野の顔ばかりが浮かんで消えることがない。 
しかもその表情は一つではなく、ころころと変わってゆく。 
笑った顔、少し怒った顔、はにかんだ顔、すねた顔……どれもこれまでに俺が見て知っている表情。 
その紺野を俺は今日これから…… 

本やビデオや友人に聞いて仕入れて覚えた知識を元に、その時の手順について頭の中で何度も何度もシミュレートする。 
そして新しい下着を身につけ、時間より早めに待ち合わせ場所に急いだ。 
ひょっとして紺野は俺をからかっていて待ち合わせ場所には誰もおらずドッキリなのかも…… 
などと一抹の不安を抱えながらそこに着くと、紺野はもうそこで待っていた。 

私服の紺野は制服で見る以上にかわいい。 
「早かったね。」 
「え、まあな。」 
俺の声が少しうわずっている。 
言うまでもない。これから起こる出来事を想像してだ。 
「そんなにあたしとしたかったんだ。」 
紺野が少し意地悪く笑った。 
「そりゃ……あ、いや……女の子待たせちゃいけないと思って。」 
「……ちゃんとお風呂入ってきてくれたよね?」 
「ああ。」 
「そっか。あたしも入ってきたよ。」 
そうか……それでさっきから少し石鹸の香りが…… 
「………」 
「なに?なんかついてる?」 
「いや……私服の紺野もとてもかわいいと思って。」 

「…ありがと。じゃ、行こっか。」 
俺達はコンビニを出、街中…目的のホテルへ向かって歩く。 
やがて…俺の手に触れるものがある。 
紺野の手だ。 
紺野が俺の手を握ってきていた。 
俺も紺野の手を握り返す。 
俺はちらりと紺野のほうを見たが、紺野は前を向いたままだ。 
やがて俺の視線に気付いたのか、何も言わずに俺のほうを見て少し微笑んだ。 
その笑顔は心なしか少しこわばっているように見える。 
俺たちは手をつないで歩いていたが、徐々に俺の手を握る紺野の手に力がこもってくる。 
その手が汗ばんできているのが俺にもわかる。 

……紺野……平気なふりしてるけど……やっぱり緊張してるんだ…… 

俺はそう思った。 

住宅街の外れにある一件のラブホテル。 
その前に俺達はいた。 
目立たない入り口を見つけて入ってはみたものの、俺も紺野もそこからどうしていいかわからない。 
「……どうやって部屋に入ったらいいんだ?知ってる?」 
「……あたしが知ってる訳ないでしょ……」 
それでもなんとかチェックインして、その中の部屋の一つへ案内された。 

「ふーん。雑誌とかでは見たことあるけど実際もこうなってるんだ。」 
紺野が言う。 
部屋の中には大きなベッドが一つ。 
そしてトイレとバスルーム。 
傍目には普通のホテルかマンションの一室のようにも見えるが、 
ただそれらと違っていたのはこの部屋の存在もここに来てそれを使う客も、 
その目的はただ一つだということだった。 
そして……俺と紺野もその例外ではない。 
そう、俺達はこれから…… 

ひとしきり部屋の中を見回ると紺野はベッドの上にちょこんと座る。 
俺もその紺野の後を追いかけるようにベッドに昇る。 
互いに向かい合って座っている俺と紺野。 
緊張しているのか、次第に二人とも無口になっていた。 
「じゃ、しよっか……」 
「うん……」 
俺と紺野は向かい合ってお互いの目を見つめ合う。 
「わかってると思うけど…あたし…初めてだから…」 
「俺もだから……うまくいかなかったらごめんな。」 
次第に顔が近づいてゆき、紺野はゆっくりと目を閉じた。 

そして……互いの唇が触れ合う…… 

あたたかくて……やわらかい…… 
それが紺野の唇に対するその時の俺の感想だった。 
しばらく紺野と唇を重ねていると、紺野のほうから舌を入れてきた。 
俺は少し面食らったが、紺野の求めに応じて少し口を開き、舌を伸ばして紺野の唇の中に差し入れる。 
絡まりあう互いの舌と舌。 

……ちゅっ……ちゅっ……ちゅっ…… 

そんな音が聞こえてくる。 
しばらくして俺と紺野は唇を離し、俺は紺野の両肩を抱くと、ゆっくりと紺野をベッドの上に押し倒した。 

肝心なのはこっからだ……ちゃんとシミュレーションした通りにしなくちゃ…… 
俺の全身に緊張が走る。 

俺は紺野の身体の上に覆い被さると紺野の服を脱がせようとボタンに手をかけた。 
その時、 
「ちょ……ちょっと待って。」 
と、紺野の声がした。 

「服…しわになったら困るから……自分で脱ぐからいっしょに脱いで。」 
そう言うと紺野は自分から着ていたものを脱ぎ、とうとうブラとパンツだけの下着姿になった。 

いざというときは女のほうが度胸あるってホントなんだな…… 

俺がなんとなくそう思っていると 
「なにしてんのよ。あたしだけ脱いだら恥ずかしいじゃない。早く脱いで。」 
と言ってきた。 

俺は紺野に促されて着ているものを脱ぐ。 
そして、紺野同様パンツ一枚の下着姿になった。 

さっきと同じようにベッドの上で向かい合う二人。 
俺の前に下着姿の紺野がいる。 
パンツだけは見たことがあるが、それ以外の身体の部分を見るのは初めてだ。 
あらためて見ると俺が予想していた通りのいい体つきをしている。 
大きな胸、くびれたウエスト、そして腰。 
それが今からこの俺の…… 
そう考えただけで俺の下半身は既にパンツがはちきれんばかりにテントを張っていた。 

「あ、もう大っきくしてる。もう……エッチなんだから。さ、さっきの続きしよ。」 
紺野にそう言われて俺たちは再び唇を重ねた。 

んっ……んんっ……ちゅっ……ちゅっ……んっ…… 

さっきと同じように俺たちは互いの舌を絡め合う。 
互いの唾液が混ざり合い、糸となって二人の唇の間を結ぶ。 
そして俺は自分の右手をゆっくりと紺野の胸に添えた。 
その瞬間、紺野の身体がぴくりと反応したような気がした。 

俺は左手で紺野の身体を支え、紺野の胸に触れた右手をゆっくりと動かし、その胸を揉みはじめた。 

……ん……んん……んんん……ん…… 

紺野は甘い吐息を漏らす。 
俺はしばらくブラ越しに紺野の胸を揉んでいたが、やがて背中に手を回してブラのホックを外した。 
腕から肩紐を抜こうとすると、紺野も肩を動かして俺の動きの手助けをする。 
紺野のブラが外れて、その豊かな乳房が姿を現す。 
巨乳というほどまでには大きくはなく、少し左右に離れてはいるものの、適度にボリュームのある紺野の乳房。 
色白の紺野らしく、血管が青く透けて見える。 
そしてその先端部分には、10円玉ぐらいの大きさの乳輪を従えた朱鷺色の乳首があった。 

「やだ……恥ずかしい……」 
紺野は両腕で乳房を隠そうとしたが、俺はその紺野の手を押さえて 
「……恥ずかしくない……きれいだ……」 
と言いながら、ゆっくりと体重をかけて二人の身体をベッドの上に倒れこませた。 

俺は右手で今度は直接紺野の乳房に触れ、それを揉む。 
紺野の乳房は張りがあって瑞々しく、そして柔らかい。 
俺より先にこういう経験をしている悪友などは、女の子の胸は柔らかいマシュマロだとか 
つき立ての餅のようだとか言っていたが、俺が実際に触れた紺野のそれは、そんなものとは到底比較にならなかった。 
俺はその紺野の乳房を円を描くように揉み、そして指先でその先端にある突起を刺激した。 

……んんん……あっ……んんっ……んん…… 

紺野はその刺激に感じ始めているのか、時折甘い吐息を漏らす。 
その吐息がさらに俺を刺激する。 
俺は今度は頭を下に降ろして、今度は唇と舌で紺野の乳房と乳首を刺激し始めた。 

……あっ……んんっ……はあっ……んん…… 

さっきとは違う刺激に、紺野はまた吐息を漏らす。 
俺の右手はそれからゆっくりと下に降り、今度は紺野の太ももに触れると徐々に足の付け根のほうへと移動させてゆく。 

そして、その右手はついに紺野の足の付け根を覆っている布にたどりいてそれに触れると、その下にあるであろう溝に沿って這わせ始めた。 

……はあああっ…… 

その時……紺野がひときわ大きな吐息を吐いた。 

俺はなおも布越しに右手を上下に動かせる。 

……はあっ……ふあっ……はああっ…… 

紺野は今度はその刺激に合わせるように吐息を吐く。 
いや……もはや吐息というより喘ぎ声に変わっているように感じた。 
布の上からでも湿り気が感じられる。 
そして……俺はその右手を紺野のパンツの中に滑り込ませた…… 
右手に感じる紺野の若草の繁み。 
そこを通過して指先が紺野の女の子そのものの部分に触れると…… 
そこはすでに充分過ぎるほどに潤っていた…… 

「濡れてる……」 
俺がそう言うと紺野は顔を真っ赤にして手で覆った…… 

俺は紺野の乳首を吸い、右手をなおもパンツの中に手を入れて紺野のそこを刺激する。 
人差し指から薬指の3本の指を、紺野の大事な溝にそって這わせる。 
時折、中指に少し力を入れて溝に押し付けたり、左右に動かせたりしてみる。 
紺野のそこからは、汲めども汲めども尽きない泉のように愛液が溢れ出してくる。 
そこからは 
……くちゅっ……ちゅっ……くちゅっ…… 
と湿った音がしているようだった。 

紺野は俺の唇と右手の動きに合わせるかのように 

はあっ……ふあっ……ひゃあっ……ふああっ…… 

と喘ぎ声を出している。 
やがて俺は、右手をゆっくりと腰から尻の方へと回して、紺野のパンツをゆっくりとずり下げようとした。 
紺野も自ら腰を浮かして、俺を助けようとする。 
パンツが膝まで下がったとき、紺野は自分から足を動かしてそれを脱ぎすてた。 
俺もそのタイミングに合わせて自分のパンツを脱ぐ。 

俺と紺野、二人の生まれたままの姿がそこに現れた…… 

俺はなおも同じように紺野を愛撫していたが、 
……そろそろいいだろう…… 
と思い、 
「……そろそろいい?」 
と声をかけた。 

後から考えれば、もっとじっくりと時間をかけてあげればよかったと思ったが、 
その時の俺は無我夢中の上、その次のことで頭がいっぱいで、とてもそこまでの余裕はなかった。 

「……うん……」 

快感で瞳を潤ませながら紺野がうなずく。 
俺は体制を立て直し、紺野の両足を開かせるとその中に自分の身体を入れる。 
そして紺野の太ももを持ち上げて挿入する体制を取った。 
その刹那、初めて見た紺野のそこ。 
下腹部から足の付け根にかけてなだらかな丘があり、そこには黒々とした陰毛が三角形に形をなしている。 
その先端部分は紺野の愛液で黒々と濡れぼそっていた。 
そしてその下には、両側に襞を従えた裂け目が見えている。 
左右の襞は充血してぷっくりと膨らんでいる。 
それが左右に開き、中心にある裂け目は、紺野の体内から出た液体にまみれて俺を迎え入れる用意を整えていた。 
いや、むしろ俺がそこへ入ってくるのを待ち望んでいるように見えた。 
ビデオやネットで画像は見たことがあるものの、実際に見るのは初めてだ。 

これが女の子……いや、紺野の…… 
そんな感慨にふけりながら俺がしばらくそこを眺めていると 
「……見ないで……恥ずかしい……」 
と紺野の声がする。 
「ご…ごめん。」 

俺は自分の分身に手を添え、とうとう紺野のそこにそれを差し入れようとする。 
その時、 
「……ゴム……着けてくれた?」 
とまた紺野の声がした。 

「ちゃんと着けてね……あたしまだ子供産みたくないから……」 

紺野の言葉に俺は我に帰る。 
あわてて部屋の中を見回してゴムを見つけると封を切り、装着しようとする。 
が、これまでしたことがないのと気があせってなかなかうまく装着することができなかった。 
「…もぉおん……早くぅん……」 
そんな俺を見て、紺野が悪戯っぽく笑いながら俺をせかした。 

なんとかゴムを着け終わって俺は再び紺野の両足を開き、身体を中に入れる。 
紺野は両手を俺の首に巻きつけ、自分のほうへと俺の身体を引き寄せた。 
そして、俺が手で紺野のそこに分身をあてがって中に差し入れようとしたとき、 
「そこ……違う……」 
と、また紺野が言った。 

俺は慌てた。場所は確かここだと思っていたけど違うのか? 
そう思ったとき、紺野は自分の右手で俺の分身を支え、自らそこへと導いた。 

「……ここ……?」 
「うん……」 

俺の先端が紺野の入り口に触れると、紺野は再び両手を俺の首に回す。 
そして俺のものが侵入しやすくなるように両足を持ち上げて膝を曲げ、 
ちょうど赤ん坊がおむつを替えてもらうときの姿勢を取った。 

俺は自分の手を添えながら、俺の分身を紺野の中に沈めてゆく。 
ついに……紺野と…… 

……う……ぐぐ……うううっ……ううっ…… 

紺野のそこは自らの潤滑液で充分潤っているはずなのに、壁があるかのように俺の侵入に抵抗する。 
その痛みに耐えかねてか、紺野の口からは嗚咽が漏れる。 
「痛い?」 
「……うん……でも……大丈夫……」 
紺野が涙ぐみながら言う。 
俺はさらに先端を沈めてゆくと、紺野はまた 

……ぐぐぐぐ……うううっ……ぐぐ……ぐっ…… 

と嗚咽を漏らし、俺の首に巻きつけている手に力をこめた。 
俺の分身はなおも紺野の中にゆっくりと侵入を続けてゆく。 
漏れてくる紺野の嗚咽。 
その顔には次第に脂汗が滲んでくる。 

そしてとうとう……俺の分身は紺野の奥まで達し…… 
俺たちの身体は一つにつながり、そして紺野は少女から女になった…… 

俺たちはしばらくその状態のままで抱き合っていたが、やがて 
「動く……よ。」 
俺はそう言ってゆっくりと腰を前後に動かせ始めた。 

ううっ……ふうっ……ううっ……ううっ…… 

紺野はそのたびに苦痛と嗚咽の交じった声をあげ、俺の背中と腰に回した両手と両足に力を入れてくる。 
俺もその紺野の身体をしっかりと支えて押さえるため、紺野の背中に腕を回して強く抱きしめる。 
俺の胸に紺野の乳房がつぶれて押し付けられる。 
乳房と、その先端にある二つの乳首の感触。 
絡みあった二人の荒い呼吸だけが聞こえてくる。 
俺を包む紺野の中は温かく、そして俺の分身を周囲から締め付けてくる。 
俺のなにもかもが、紺野の中にとろけていきそうな感覚。 
少しでも長く持たせようとここに来る前にあらかじめ出してきたはずなのに、 
ほんの数分も経たないうちに俺はもう限界を迎えようとしていた。 

「ごめん……もう……出る……」 

とうとう俺はそれだけ言うと、そのまま紺野の中で果ててしまった。 

俺たちはゆっくりと身体を離し、汁が漏れないように慎重に俺の分身を抜いて着けていたゴムを外した。 
先端に溜まっている俺の白い血。 
そしてそのゴムの外側には、うっすらと赤い液体が付着していた。 

「あ、血が出てる。」 
紺野のその声に俺は紺野のほうを見た。 
そこには、紺野の体内から出た血が流れ出し、シーツに赤い染みを作っていた。 
それはまさしく、紺野の破瓜の証しに他ならなかった。 

「これって……あたしの初めてのしるしだよね。」 

紺野はベッドの上に座ったまま、俺に向かってそう言った。 

シャワーを浴び、脱いだものを再び着て俺たちはホテルを出る。 
俺はまだ夢見心地だった。 
俺……本当に紺野としたんだ…… 
しかも紺野の処女を俺が…… 
ほんのついさっきまで自分がしていた行為が、俺にはまだ信じられなかった。 
だが、今俺の隣にいる紺野の、その唇、胸、肌、そしてあそこの感触とぬくもりが俺の全身にはっきりと残っている。 

……やべ……また勃って…… 

俺はそんな自分を静めようと懸命だった。 
そしてちらりと隣にいる紺野のほうを見た。 
紺野は俺の視線に気付かずに前を見ている。 
その紺野の横顔はとてもかわいい。 
俺は腕をそっと紺野の肩に回そうとした。 
紺野は俺のそんな気配を察したわけではなかったろうが、自ら俺の腕に自分の腕を絡めてきた。 
「…………」 
「えへへ……今だけいいでしょ。だって、あたしの初めての相手だもん。」 
俺のほうを向いて微笑む紺野。 
それはこれまでに見たどの微笑よりも可愛かった。 
そして、俺の気のせいかこれまでとは違った女らしさ、艶っぽさがあるように見えた。 

俺たちはしばらく腕を組みながら歩いていたが、どうも紺野の足取りがぎこちない。 
「どうした?」 
俺が聞く。 
「ん……まだちょっと痛くて……なんだかまだ足の間に何か入ってるみたい……」 
「そんなに痛かったのか?」 
「うん……でも、ま、こんなもんかなって。ね、そっちの感想は?」 
「あ……紺野の中……とってもあったかくて気持ちよくて……まるで俺が溶けていきそうだった…」 
「もう……やだ……」 
そう言って紺野はまた顔を赤らめた。 
「ごめんな。俺がもっと上手だったら紺野をもっと……」 
「いいよ……二人とも初めてだったんだもん、仕方ないよ。 
だいいち……あたし他の人なんて知らないから比べられないもん……上手いか下手かなんてわかんないよ…」 
「…………」 
「……それに……もし上手じゃなかったとしてもこれから二人で経験重ねていけばいいじゃん。ねっ。」 

……それって……どういう意味…… 

「……あたし初めてだったけどちょっとも緊張しなかったし、こわくもなかったよ。 
してる最中だって……すごく安心できた…… 
あたし…初めての相手があなたで良かったと思ってる……」 
「…………」 
俺は照れて少し横を向いた。 
すると紺野は 
「ね、これ見て。」 
と言うと、組んでいた腕を解き、俺の前に回ると自分の両手を合わせてものを掬うような形を取り、 
その手を俺の前に差し出した。 
俺が少し首を傾けてその手の中を見ようとしたとき…… 

………ちゅっ……… 

紺野の唇が再び俺の唇に触れた…… 
俺が少し驚いた表情をしていると 
「……だからまたしよっ、ねっ。」 

そう言って紺野はきびすを返して家へ帰ろうとする。 

「あ、紺野……」 
「なに?」 

俺と付き合ってくれ…… 

そう咽元まで出かかったが、それが言葉になることはなかった。 
「じゃ、あしたまた学校でね。バイバイ。」 
紺野はそう言うと自宅の方向へと歩き去っていlく。 
その歩き方は、やはり少しぎこちない。 
俺はその紺野を見送ることしかできなかった…… 

その夜もまた……俺は自分に残る紺野の体温と感触を思い出しながら今日3度目の放出をした。