紺野とえっちした翌日、俺は学校へと向かう。 
……ダメだ…… 
考えないようにしても昨日のことを何度も思い出しては顔がニヤけてしまう。 
こんな表情を紺野に見られたら…… 
「もう、なにニヤついてるのよ。このスケベ。」 
と笑って済ましてくれるだろうか。 
そんなことを思いながら教室に入った。 

「あ……紺野……おはよう。」 
「………………」 
挨拶しても紺野は答えなかった。 
昨日までは「おはよう」ぐらいは言ってくれたというのに…… 

授業中も気になって紺野のほうをちらちらと見る。 
紺野は俺の視線に気づいてこちらをちらりと向く時もあったがすぐに視線をそらす。 
休み時間中に声をかけようとしても、そのたびにうまくすかされてしまう。 
……明らかに俺を避けている……… 

その時、俺は気がついた。これは 

勘違いしないで。あたしたちただの友達じゃない。一回身体を許したからと言って彼氏ヅラしないでちょうだい。 

という紺野からの無言のメッセージなんだと。 


確かに、昨日の夕方から今朝にかけての俺は浮かれていた。 
紺野とえっち……いや、紺野の処女を貰ったことで俺は紺野にとって特別な男なんだと勝手に思っていた。 
だが、考えてみたら紺野の目的は俺の身体。 
自身の興味と好奇心を満足させるために手近でそれなりに親しい友人である俺を選んだに過ぎない。 

わかってはいたことだが、いざそう思い知らされてみると寂しい。 
だが、なんとか自分を納得させ、そう割り切ってしまうようにした。 
そうすれば多少は気が楽になる。 
もし、昨日の別れ際に紺野に「付き合ってくれ」なんて言って玉砕してたら、俺は立ち直れないだろう。 
今のままでいれば、少なくともこのまま親しい友人でいることはできる……と思う。 
それに紺野は「またしようね」って……… 
もちろん、感情の高ぶりが言わせた社交辞令だとは思うがいつかまた昨日のようなことがないとは限らない。 
考えようによってはなかなかラッキーなポジション……なのかもしれない。 
そう思うようにした。 

……結局……その日は紺野と一言も言葉を交わすことはなかった。 

しかし一度覚えてしまった紺野の肌を俺は忘れることができない。 
その夜もまた、この前のことを思い出して俺は紺野の世話になった…… 

次の日も、その次の日も、俺と紺野の間には会話がなかった。 
……ひょっとしたら紺野はこの前のことをなかったことにしたいんじゃないか…… 
だからほとぼりが冷めるまで俺としゃべらないようにしているんじゃないか… 
なにかの拍子に俺が得意げにその話をするんじゃないかとか、彼氏のようにふるまったりすることを 
嫌がってるんじゃないか…… 
不安と、疑心暗鬼が俺を襲う。 
正直、紺野と話さないことがこんなに寂しいものだとは自分でも思っていなかった。 
せめて普通の会話ぐらいしてくれたっていいじゃないか…… 
そんな恨み節さえ出そうになる。 

それからさらに数日が経ち、俺がいつものように自分の席で昼飯を食っていると、紺野が俺のところにやってきた。 
そして小声で 
「……ね、今日一緒に帰ろっか。」 
と俺に小声で言った。 
その口調は以前と変わらないもの。 
俺は、少なくとも紺野に嫌われていないということがわかって正直ほっとした。 

帰り道、俺は紺野と並んで歩いている。 
学校を出てしばらくの間、二人とも何もしゃべらなかった。 
普段なら明るく話題をふってくる紺野も何も言わない。 
いや、互いに何をしゃべっていいのかわからなかったのかもしれない。 
この間のことを口にするのも憚れたし、かといってそれをなかったことにするのもよそよそしい。 
それに……今日一緒に帰ろうと誘ったのはどういうつもりなんだろうか…… 
妙な緊張感が俺を包む。 
……そう……まるでこの間、二人でホテルに向かっているときのような…… 

その時、紺野が急に自分の腕を俺に絡めてきた。 
「えへへー。」 
「な……なに、いきなり?」 
「ね……今日これからヒマ?」 
「な、なんだよいきなり。そりゃ今日は別に用事ないけど……」 
俺は答える。 
何日ぶりかの紺野との会話。 
内心、うれしさがこみあげてくるのが自分でもわかる。 
「あのさ……今日うち来ない?」 
いきなり紺野が言った。 
俺は何が起こったのか一瞬わからなかったが、すぐに紺野の言ったことは理解した。 
だが……それを口にした紺野の意図はなかなか理解することができなかった。 

紺野……どういうつもりで……まさか……ひょっとして「またしようね」の「また」なのか……? 

さまざまな憶測が頭を駆けめぐる。 
だが俺の口は推理が脳内をめぐるよりも早く 
「ああ。いいよ。」 
と答えていた。 

その返事をしたとたん、俺の腕をつかむ紺野の腕に力が入る。 
そしてもう一度俺のほうを見て 
えへへ。 
と微笑む。 

天使のようにかわいいその表情。 
そして……女になったせいだろうか、その中に少し大人の色っぽさを俺は感じた…… 

紺野は自分のそんな表情に気づくわけもなく、なお俺に腕を絡めてくる。 
そして、ときどき俺の腕にあたる紺野の胸の感触。 
それは俺の欲望を刺激するには充分すぎた。 
……やべ……また………… 
自然と俺の腰が引け、歩みが遅くなる。 
紺野はそんな俺に気づくわけもなく、 
「もう、何してんの。」 
と俺を急かした。 

「いや…だって急に腕組んできたから……」 
と、俺はごまかす。 
「だって……学校に近いとこじゃ誰かに見られちゃうかも知れないし。」 
紺野はそう言う。 
そう、俺と紺野が関係を持ったことはみんなには秘密だ。 
もし男共に知られたらどんなやっかみを受けるかわからない。 
俺自身は自慢したい気持ちもあったが、紺野が秘密にしようというのなら仕方がない。 
それに……ちゃんと付き合っているわけではないということが俺に負い目を感じさせていた。 
この状況で自慢したら単なるヤリ自慢に過ぎないことは明らかで、そしたら紺野は傷つくに違いなかった。 

「だって……いいじゃん、そのぐらい。なんたってあたしの初めての相手なんだもん。」 
紺野は明るくそう言う。 
その言葉を聞くと、 
紺野の嫌がりそうなことはやめよう、そう思える。 
何より俺は紺野に嫌われたくない。 
少なくとも紺野は俺のことをいい友人として見てくれていて、好奇心からとはいえ身体を許してくれるという信じられないことまでしてくれた。 
もし……ここから始まってもっと親しい……いや、ありていに言えば彼氏彼女になれたら…… 
そんな期待もあった。 
だから…… 

そんなことを考えながら腕を組み、時折他愛ない会話を交わしながらいつしか紺野の家に着く。 

「さ、上がって。お母さん今日は遅いから今誰もいないよ。」 
「おじゃまします。」 
そう言って紺野の家に上がらせてもらう。 
今……誰もいないって……ひょっとして本当に…… 
期待をふくらませながら階段を昇り、紺野の部屋に入れてもらう。 
机と、ベッドと、洋服ダンスのある部屋。
女の子の部屋らしく、全身が映る鏡もある。 
この前紺野にもらった画像に写っていた鏡。 
紺野……この部屋で撮ってたんだ…… 
そう考えると脳内に妄想が広がり、興奮が呼びさまされる。 
そして、なにより部屋いっぱいに満ちている紺野の匂い。 
甘くて…ちょっと酸っぱい紺野のフェロモン。 
それが俺の興奮と欲望をさらに刺激する。 

「今何か飲むもの持ってくるね。ちょっと待ってて。」 
紺野はそう言うと階段を降りてゆく。 

一人残された俺はいろんなことを考える。 
紺野が今日俺をここに連れてきた意図、そしてこの部屋で紺野が普段していること…… 
そしてこれから起きること…… 

……やべ……また勃って……… 

俺の下半身は再び欲望に反応しはじめてきていた。 

「お待たせ。」 
紺野がそう言ってジュースを持ってきた。 
「あ……ありがと。」 
二人でしばらく無言でそれを飲む。 
飲み終わった後、俺は 
「な……どうして今日は俺を呼んだんだ?」 
と思い切って紺野に聞いてみた。 

紺野は少し照れて下を向く。 
そして 
「だって……Aくんあたしの初めての人だもん……あたしのこともっと知ってもらいたいな、って……」 
と言った。 

……それって……どういう…… 
「でも……どうしたらいいのかわかんなかったから、とりあえず部屋に来てもらったらどうだろうかな、って。」 
「………………」 
俺も、紺野のことをもっと知りたい、いつもそう思っていた。 
いや、これまでのつきあいでわかっていることもあったがもっと深くいろんなことを知りたい。 
好きな食べ物、趣味、そして……好きな男のこと。 

「でも考えてみたら部屋見せただけじゃ何もわかんないよね。」 

……いや、そんなことはないさ。この部屋を見ただけで紺野のいろんなことがわかった……ような気がする…… 
そう思ったが言えなかった。 
すると紺野は、こんどはぽつりぽつりと話し出した…… 
「あたし……自分がこんなにえっちだなんて思わなかった……」 
「……………………」 
紺野が続ける。 
「あのね……最初A君のおち……見せて……ううん、見て手で触った時……身体がすごく熱く感じて…… 
それから……パンツ見せた時とか……胸…触られた時なんかも…… 
自分でも信じられないほどえっちになっちゃって……それで……そのあと一人でして…… 
それも学校のトイレで……変態さんだよね、あたし……」 
「……紺野……」 
何を言おうとしてるんだ…… 
紺野はさらに続ける。 
その顔は次第に赤みがさしてくる。 
自分でも言っていて恥ずかしいんだろう。 
「それで……こないだ初めてした後も……なんどもなんども思い出して…また一人で…… 
だから次の日なんて恥ずかしくて全然顔見れなくて……」 

……そうか……それで俺が声をかけても返事しなかったし目をそらしたりしたのか…… 

俺がそんな紺野の表情を見つめていると、紺野はそれに気づいたのか突如我に返ったかのように 
「やだっ!あたしったらまたなんてこと……」 
と両手で顔を覆ってしまった。 
普段なら絶対に聞けることのない紺野の本音。 
相手が俺だから……そしてここが自分の部屋だからこそそんな自分を赤裸々に語っていることは明らかだった。 

しばらくして落ち着いたのか、紺野は顔を覆っていた両手を離す。 
そして手で自分の顔をぱたぱた扇ぐと、照れ隠しもあるのか笑いながら俺に言った。 

「でも、A君も思ってたよりむっつりだったんだよね。あたし、そんな人だと思わなかった。 
だってあの日までそんなこと全然話題にしてこなかったんだもん。」 

そう言うと真っ赤な顔のまま俺に向かって微笑む。 

……もう……たまらん…… 

俺はとうとう、我慢できずに両手で紺野の肩をつかむと、その瞳を見つめて言った。 
「俺……もう一度紺野と……したい……ダメかな……」 
紺野は何も言わずに、俺を見つめたままだった。 
もし……紺野が最初からそのつもりで俺を自分の家に連れてきたのなら…… 
「俺も……前から紺野で何度もしてた……前に紺野にあたしでもするの、って聞かれた時…… 
どう答えようか、って思った……正直に言おうかどうか、って…… 
それからも……この前紺野とした後も何回も思い出して一人でした……」 
紺野がここまで心を許して自分の性欲を正直に明かした以上、俺も正直に言わなければならないと思った。 
それがせめてものお返し、というか俺にできることだった。 
もし……これで紺野が引くのならそれはそこまでだ。 
そして……思った通り……いや、俺の期待に応えてくれるかのように紺野は 
「……うん……いいよ……」 
と頷く。 
そして 
「……あたしたち……二人ともえっちだからちょうどいいよね。」 
と言った。 

俺はそのまま紺野の顔を近づけ、唇を重ねる。 
以前に感じたのと同じように暖かくて柔らかく、そして……甘い。 
それはさっき飲んだジュースのせいなのか、それとも…… 
俺は紺野を立ち上がらせ、そのままベッドに寝かせようとした。 
その時、紺野は急に我に帰ると 
「……ごめん……ちょっとシャワー浴びてきていい?それに……制服だし……」 
と言った。 
俺が少し虚をつかれた感じでいると、紺野はそのまま階段を降りてゆこうとする。 
そして降り際に 
「あたしが終わったらA君もシャワー浴びてね。」 
と言い残した。 

一人紺野の部屋に取り残される俺。 
いろんなことが頭の中をめぐる。 
紺野がさっき話してくれたこと、これから起こること。 
そして、この前の紺野の肌の感触がよみがえる。 
その時の俺にはまだ一緒にシャワー浴びよう、ということもそれを実行することも思い至らなかった。 
ただごちそうを待つ子供のようにそわそわしている他なかった。 

俺は気を落ち着けてあらためて部屋の中を見回してみる。 
ここが……紺野の部屋……そして紺野が毎日寝ているベッド…… 
紺野は毎晩このシーツと布団にくるまれて…… 
俺はベッドに昇って横たわり、シーツに頬ずりをしてみる。 
……紺野の匂いがする…… 
何度も顔を擦りつけてみて 
……何やってんだ俺……… 
と、ふと我に返る。 

階下からかすかにシャワーの音が聞こえてくる。 
紺野は今、これから俺とするためにシャワーを浴びて…… 
そう思うと興奮が止まらない。 
俺の分身は早くもその準備を整えてズボンにテントを張っている。 
……やがて、水の止まる音、そして階段を昇ってくる音がした。 
再び俺の前に現れた紺野。 
制服を脱ぎ、丈の長いTシャツ一枚だ。 
時折裾からチラチラとパンツが見える。 
そして……胸はシャツに丸く張りを作っており、 
さらに先端の突起が形を現していて下はノーブラであることはすぐわかった。 

「お待たせ。次はA君シャワー浴びてきて。」 
俺がしばらく紺野のその姿に見とれていると、紺野が俺を促す。 
「あたしがシャワー浴びてる間、部屋の中かき回したりしてなかったでしょうね?」 
少し意地悪く微笑んで紺野が言った。 
「そんなことするもんか。………あ、お風呂場どこ?」 
俺はそう言うと急かされるように入れ代わりにシャワーを浴びに行こうと床から立ち上がる。 
そして紺野とすれ違う際、紺野は 
「どうせすぐ脱ぐんだし、裸のままで出てきたら?」 
と冗談とも本気ともつかないことを言った。 

紺野って……ああ見えて意外にスケベだったんだ…… 
これまで俺が思っていたのと違う紺野の実像。 
いや、今までも見せて、とか言ってきたからそういうところがなかったわけじゃないんだろうけど…… 
ひょっとして実はヤリマ……でも俺が初めての相手だったんだよな…… 
それにあの時まではそんな話題なんて全然出さなかったし…… 
橋とか小川なんかも紺野は奥手だって言ってたみたいだし…… 
おとなしくてまじめな子ほど逆に目覚めてスイッチが入ったら止まらないともいうし…… 
ひょっとして紺野もそういうタイプだったのかも…… 

シャワーを浴びながらいろんなことを思う。 
だが、俺にとって紺野が紺野であることに変わりはない。 
むしろまじめ一辺倒でとっつきにくいよりはよかったのかも…… 
それに……紺野とこういう関係になれたんだから…… 
そういや俺ゴム持ってたっけ…… 
確かこの前ホテルに置いてあって使わなかったやつ貰って帰って財布に入れたよな…… 

変に現実的なことも考える。 

自分の部屋で紺野が待っていることを考え、なるべく手早くシャワーを浴び終えた。 
とはいえ、肝心なことろは念入りに湯をかけて清める。 
こんなことが原因で嫌われたりしたら目も当てられない。 

紺野は裸で出てきていいよ、とは言うものの、さすがにそういうわけにはいかない。 
とはいえ、またすぐに脱いでしまうだけにいちいち着るのも面倒くさい。 
結局、俺はバスタオルを借りてそれを腰に巻いて2階へと上がっていった。 
着ていたものを手に抱えていたのは少しマヌケだったが…… 

ドアをノックし、部屋に入ると紺野はベッドに腰掛けて待っていた。 
俺の姿を見ると 「キャッ」 と小さな声をあげる。 
まさか本当にこのような格好で来るとは思ってなかったらしい。 
「ごめん、待たせた?」 
俺が言うと紺野は首を横に振る。 
俺は衣服を部屋の隅に置くと紺野の隣に並んで腰掛け、手の中に持っていたゴムを手を伸ばせば届くところに置く。 
そして再び紺野を見つめた。 
紺野はゆっくりと目を閉じ、互いの顔が近づいてゆく…… 

俺は紺野と唇を重ねたままその身体を抱き、ベッドの上へと押し上げる。 
そして一旦重ねた唇を離し、俺達はもういちど互いを見つめ合った。 
紺野はそこで一呼吸置くと、ふと俺の下半身に目をやると 
「……ね、する前にまた一度見せて。」 
と俺に言う。 

なんだよ……せっかくこれから、ってとこで気分が高まってきたのに…… 
少し気分を折られた俺はちょっぴり不満げな表情を見せた。 
すると紺野は 
「えへへ……いいじゃない。し始めたら全然余裕なくなっちゃってゆっくり見れないんだもん……」 
と微笑んで言う。 

……仕方ないか……紺野にそんな表情されたら、なんでも言うことを聞いてやりたくなる。 
まったく天使なのか小悪魔なのか…… 

「……ん……どうぞ……」 
俺は自分でバスタオルを外して分身を紺野の前に晒した。 
紺野はベッドの上に正座したまま、俺の分身をしげしげと眺める。 
Tシャツの裾から時折ちらちらと見える紺野のパンツ。 
それがまた俺の欲望を刺激して、俺の分身はこれ以上ないほどに屹立していた。 

「ふーん。これこの前本当にあたしの中に入ったんだねー。すごいねー。」 
紺野はためつすがめつ俺の分身を眺め、時折手でそれに触れる。 
「……ということはあたしのもこれぐらい広がっちゃったんだ…………」 
「…………………」 
どう返事してよいやらわからない。 
「……痛いはずだよね……」 
紺野はしばらくそうやって俺の分身を手で弄んでいたが、やがて満足したのか 
「……この前はごくろうさま。今日もよろしくお願いしますね。」 
と俺の分身に向かって声をかけると、指でちょんとそれを突っついた。 

……おいおい、そっちに挨拶かよ…… 
俺があっけにとられていると、紺野はそのことに気づいたのか今度は顔を上げて俺を見ると 
「…あっ……ごめんね。本当は持ち主にあいさつしないとね。さ、続きしよっ。」 
と言って、両手を俺の首に回して目を閉じた。 

……今日三度目のキス。 
俺はそのまま体重を預けて二人の身体をゆっくりとベッドに倒れこませる。 
俺だけ先に全裸なのはちょっとマヌケかな……とも思う。 
が、なるべくそのことは考えないようにして俺はそのままTシャツ越しに紺野の胸に手を這わせていった…… 

「……ん……んん………」 
俺の手の動きに紺野が吐息を漏らす。 
俺はしばらくそのままTシャツの上から、そして次にTシャツをめくり上げ、その裾から手を入れて紺野の胸に直接触れる。 
紺野の胸は、この前と同じく柔らかい。 
俺はTシャツをさらにめくりあげて上に上げ、紺野の首を抜いて脱がせ、下着一枚の姿にした。 
右手で乳房の周囲を円を描くように撫で、時折先端にある朱鷺色の乳首をつまみ、指で震わせる。 

「……んっ……ふううっ……んんっ……」 
徐々に喘ぎ声へと変わりつつある紺野の吐息。 
時々背中がぴくんぴくんと小さく痙攣するのがわかる。 

行為に無我夢中でまったく心にゆとりのなかったこの前と比べると、さすがに二度目は自分でも余裕を持つことができる。 

そして俺はこの間と同じように、右手を胸からへそ、さらにその下へとすべらせて布越しに紺野のそこに触れた……… 

「……ふううっ……」 
紺野は大きく吐息を吐いた。 
俺はこの間と同じように布越しに指の腹を上下させる。 
そして時折左右にと撫でる。 
俺の指には布越しに紺野の体内から染み出た液が感じられる。 
紺野はその刺激に合わせて小刻みに身体を震わせていた。 
「……気持ちいい?」 
俺がそう聞くと紺野は顔を真っ赤にして 
「……やだ……恥ずかしい……」 
と横を向いた。 

そして俺はまた、この間と同じく右手を紺野の布の中に入れると、それを一気に引き抜いて脱がせた。 
再び俺の前に生まれたままの紺野の姿が現れる。 
巨乳でなはいが大きくて形のいい外向きの胸、くびれたウエスト、張りのある腰。 
それらが絶妙のバランスを取っていてえもいわれぬぐらい美しい。 
紺野は恥ずかしいのかなおも横を向いたままだ。 
「紺野……こっち向いて……きれいだ……」 
俺は紺野にそう語りかけたが紺野はなおも 
「……恥ずかしいよう……」 
と横を向いたまま蚊の鳴くような声を出した。 

俺は再び紺野の身体に覆いかぶさると、唇と舌でその右胸を、右手で下腹部を刺激しはじめた。 
「……はうっ……ふうっ…ふあっ…はああっ……」 
その刺激に、紺野は再び吐息とも喘ぎ声ともつかない声を出しはじめる。 
両手はシーツをつかみ、懸命に快感をこらえている。 
俺の右手の先は、紺野の縦割れに沿って上下に、そして左右に動いて刺激を与え、時折左右の襞をぷるぷると震わせる。 
紺野のそこは、すでに滲み出した液体にまみれていてその液は留まるところをしらないかのように後から後から体内から湧き出てきて俺の手の先に絡みついてきていた。 

俺は裂け目の先端にある突起の感触を確かめると、指先でそれをつまんでみた。 
「ふうううううううっっっっっ………」 
その刹那、紺野はひときわ大きな吐息を吐いた。 
俺はそれからしばらく、その突起を弄んだり、指の腹でさすったりする。 
「……はあっ…ふああっ…ふううっ…ふうっ……」 
そのたびに紺野はその声とともに、腰を突き出して自らそこを俺の手に押しつけてくる。 
もうすでに充分快感につつまれていることは明らかだった。 
ふと、俺は人指し指と薬指の先で襞を左右に開き、中指をその中心にある窪みへ沈めていった。 
俺が貫通させた紺野の女の子そのものの穴。 
「ふうううううううっっっっ………」 
指が沈みゆくのと同時に、再び紺野は大きな大きな息を吐く。 
「……大丈夫?」 
紺野が少し眉をしかめたので、俺は聞いた。 
「……うん……平気………気持ちいい……」 
快感に大きな目を潤ませて紺野が答える。 

俺は再び、紺野の中に入れた指をゆっくりと動かせる。 
俺の指に絡みついてくる紺野の体内の襞。 
「ふわっ……ふわっ……ふわっ……」 
指の動きに合わせるように紺野が喘ぐ。 
紺野の身体から次第に汗が滲んでくる。 
指から感じる紺野の体温。 
紺野の体液は俺の指に絡み、くちゃくちゃと湿ったいやらしい音を立てていた。 

しばらくして……俺がそこから自分の指を抜くと紺野は再び 
「ふうううううううっっっっ……・・」 
と大きな息を吐いた。 

「……いくよ……」 
俺がそう言うと紺野が頷く。 
俺は自分の分身にゴムをかぶせ、紺野の両足を開いて自分の身体を割って入らせる。 
自分の分身に手を添え、紺野のそこにあてがい場所を確認する。 
場所は確か……今度は間違えないようちゃんとしないとな…… 

そして……俺はそのまま体重をかけて紺野に挿入を開始した…… 

「……ふうううっ………うううううううっっっっっ………」 
紺野の口から嗚咽が漏れる。 
「……まだ……痛い?」 
「……うん……少し……でもこの前よりは楽………」 
涙目で健気にも俺にそう言ってくる紺野。 
俺はそのまま腰を押し出して紺野への侵入を続ける。 

……そして俺たちは再び一つにつながった……… 

暖かくて……まるで真綿でやさしくくるまれたように心地よい紺野の中。 
ともすればその快感に負けて精を放出しそうになる。 

今度は……少しでも長く保たせないと…… 

そんなことを思いつつ、俺は腰を動かして前後運動を開始した。 

…ううっ……くうっ……ううっ……うくっ……ふうっ…… 

2回目ということもあってまだ馴染んでいないのだろう。 
この前ほどではないものの紺野は苦痛と嗚咽の混じった声を上げる。 
俺の背中に回した手に力が入る。 
一方俺は、すぐに果ててしまわないようになるべく気を集中させないようにした。 

とはいうものの、俺を包む紺野の中はえもいわれぬほどの快感を俺に与える。 
初めての時よりは少しは長く保つことができたのだろうが…… 
俺は再び紺野の中で……正確にはゴムの中にだが……精を放った…… 
俺と紺野はベッドの上に向かい合って座っていた。 
紺野は終わった直後はしばらくベッドに横たわっていたが、しばらくすると起き上がってTシャツを着、再びパンツを履いた。 
俺はもっとそのきれいな裸を見ていたかったが、紺野は恥ずかしいという。 
つい今しがたまで俺と裸で絡み合っていたというのに…… 
まったく女の子の考えることはよくわからない。 
俺だけ裸のままでいるというのも変なので、俺も衣服を着た。 
取り出したゴムの口をしばってティッシュにくるんでポケットに入れようとすると、 
紺野が 
「それ、捨てといてあげるね。」 
と言って俺からそれを受け取った。 
紺野はそれをまたティッシュから出すと、自分の目の前にぶらさげて珍しそうに見ている。 
「……なにしてんだよ……いったい……」 
「ふーん……こんだけ出たんだ……いっぱい出たんだね。」 
と俺を見て微笑みながら言うと再びそれをティッシュにくるみ、自分の机の上の片隅に置いた。 

「また…しちゃったね。」 
紺野が言う。 
「すっきりした?」 
なんと答えようか俺が迷っていると 
「……あたしはすっきりしたよ。なんかここ何日か溜まってたもんが抜けた感じ。」 
と屈託なく言ってくる。 
それは……どういう…… 
確かに女の子も性欲があることは紺野自身が言っていた。 
俺は……単なる紺野の性欲の処理の対象なんだろうか…… 
いや、そうじゃないと思いたい。 
だが……どういう形であれ紺野が俺を必要としているのなら俺は…… 
いろんな想いが頭の中をめぐる。 

ただわかったことは、俺は紺野を必要としているということ。 
だから……紺野が望む形に…… 

そんなことを考えていたら突然 
ぐるるるる……… 
と、俺の腹がなった。 

俺と紺野は顔を見合わせて笑う。 
「おなか減っちゃたの?」 
「………ああ………」 
「そっか……運動したもんね……ね、なんか食べてく?簡単なのでよければ作ったげるよ。」 
「……いいよ……今日晩飯いらないって言ってきてないし……」 
「そっか……」 
紺野は少し寂しそうな顔をした。 
正直、紺野の手作り料理を食べてみたい気持ちもあったが、一方でこの場を早く離れたいという感情もあった。 
紺野はする前と同じく、Tシャツにパンツだけの姿だ。 
そして、さっきと同じように時折Tシャツのすそからチラチラとパンツが姿を見せる。 
そのなんともいえない姿に、俺のそれはさっき精を放出して収まったばかりだというのにもう回復の兆しを見せていた。 
このままここにいたらまたしたくなってしまう。 
心だけでなく、身体も紺野に溺れそうになっているのがわかる。 
それに…もし紺野の親御さんが帰宅して顔を合わすことになったら、すごくバツが悪い。 
ましてやしている最中に帰ってこられでもしたら…… 
「……じゃ……そろそろ帰るから……」 
「……うん……」 
俺は立ち上がって帰る支度をする。 

「……ごめん……ベッドのシーツしわにしちゃって……それに汗もたくさんかいて……」 
「……いいよ……・あたしが誘ったんだし……明日洗濯するから……ね、今度はあたしがA君の部屋に行っていいかな?」 
「いいよ。いつでも歓迎するよ。なんなら明日でも来る?」 
俺は紺野に言う。 
この状況で俺の部屋に来るといったことがどういう意味を持つのか、理解できない俺ではない。 
「そうだね。あたし明日は用があるからダメだけど……前もって都合言っておいたほうがいい?」 
「そりゃできたら……」 
なるべく家族が遅くなる日。できればどっか泊まりがけで出かけてくれたら最高なんだが…… 
「……あ、じゃ俺のほうから声かけるってことでいいかな。」 
そしたら俺から誘うきっかけもできる…… 
「いいよ。じゃ誘ってくれるの待ってるね。」 
紺野が言った。 
「ね……最後にもっかいキスして。」 
そう言って顔を突き出してくる。 
俺も顔を近づけ、今度は軽くキスをする。 
……ん…… 
重ねた唇が離れた際、紺野が 
「……あたし……Aくんとしかしないから安心して……」 
と囁いたのが俺には聞こえた。 

俺は紺野の家を出て、自分の家へと向かう。 
振り向いて紺野の部屋を見ると、紺野がまだ手を振ってくれていた。 
俺も笑って振り返す。 
紺野が俺のことを避けていないことがわかっただけでも甲斐があったというのにその上また…… 
俺はしばし満ち足りた気分につつまれる。 
だが、紺野はまだ俺の彼女ではない。 
ひょっとしたら紺野が求めているのは俺の身体だけなのかもしれない。 

……また…言えなかったな……付き合ってくれ、って…… 

できれば紺野の身体だけでなく心も欲しい…… 
帰りの道すがら、今日もまた性欲が先走ってしまったことを俺は少し後悔した…… 

(了。)